【小さな山旅】農家と鶏足山…鶏足山(3) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】農家と鶏足山…鶏足山(3)

オピニオン コラム
今回の山のお供は、農家の高萩和彦さん。鶏足山のある城里町で農業を一人で営んでいる。写真は、下界の景色を眺める高萩さんの後ろ姿。
  • 今回の山のお供は、農家の高萩和彦さん。鶏足山のある城里町で農業を一人で営んでいる。写真は、下界の景色を眺める高萩さんの後ろ姿。
  • 高萩さんは、農業と趣味の城巡りで鍛えた健脚を披露してくれた。
  • 「山登りって身構えてしまうところがありましたけど、登ってみてそのイメージがなくなりました」と、高萩さん。高萩さんは取材の後日にも、再度鶏足山に登ったという。
  • 焼森山頂での高萩さん。「鶏足山は尾根伝いに歩ける道が長く、景色を楽しみながら歩けました」山を満喫してくれた様子。
  • 取材後に高萩さんの蓮田(はすだ)を見学に行く。今年から始めたという蓮根栽培だが、初栽培にも関わらずちゃんと蓮根は育っていた。
  • アスパラガスを栽培しているビニールハウス。秋にはイチョウの葉が色づいて目を楽しませてくれる。
  • 有機無農薬栽培で作られた野菜たち。そのまま食べても美味。
  • 農作業中の高萩さん。アスパラガス以外の野菜は、全て無農薬栽培。
今回の鶏足山登山は、農家の高萩和彦さんに同行して頂いた。高萩さんは、鶏足山が位置する城里町で、一人で農業を営んでいる。

高萩さんがメインで栽培しているのはアスパラガスだ。他にも、カブ、大根、生姜など多品目の野菜を栽培し、今年の秋からは蓮根栽培にも挑戦している。アスパラガス以外の作物は、全て無農薬栽培。土作りをきっちりとすることで、農薬を撒かなくても病害虫が出ないように工夫している。


農作業中の高萩さん。アスパラガス以外の野菜は、全て無農薬栽培。

そんな高萩さんと筆者はひょんなことから知り合いになり、ひょんなことから一緒に山に登ろうという話になった。

茨城県屈指の低山ハイカーと自負する筆者は、高萩さんの登りたい山のリクエストに応えることにした。高萩さんの口から出た山名が「鶏足山」であった。城里町のシンボルと言えるこの山を、町民として一度は登ってみたいという。

そのような訳で、高萩さんとの鶏足山登山を決行した。農業を生業としているだけあって、高萩さんは健脚であった。筆者が最初の登りでぜいぜいと息を切らしているのに対し、高萩さんはそれほど苦ではなさそうに見受けられた。


高萩さんは、農業と趣味の城巡りで鍛えた健脚を披露してくれた。

山の初心者である筈の高萩さんに、負けられないという思いから、切らした息を無理やり繋ぎ留め、さも平気そうに振舞ってはいたが、「そろそろ休憩しましょうか」という言葉が最初の20分で何度も口から出そうになった。幸いにも鶏足山は最初以外には急な登り坂はなく、その後は「県内屈指の低山ハイカー」としての面目を保つことができた。

高萩さんの健脚の秘訣は、やはり日頃の農作業にあるのか? 体力面では、日頃の農作業によるところが大きいとは思うが、山に登る姿が様になっていた。山を歩き慣れた様子だったのだ。気になった筆者は、下山後にその謎を突き止めた。果たしてその秘訣は高萩さんの趣味にあった。

高萩さんの趣味は、城巡りである。城巡りと山登りは、何ら関係がなさそうに思えるが、そんなことはない。むしろ、城巡り=山登りの場合だってあるという。

「城にも種類があって、戦国時代よりも前に造られた城の多くは山城なんです。それで、結果的に登山になっていたということが多々ありました」


「山登りって身構えてしまうところがありましたけど、登ってみてそのイメージがなくなりました」と、高萩さん。高萩さんは取材の後日にも、再度鶏足山に登ったという。

なるほど、健脚の秘訣はそこにあったのか。高萩さんがこれまでに巡った城の数は、40以上。姫路城などの人工的な美しさを持つ城から、荒々しい美しさを持つ山城まで、実に様々な城を巡ってきた。では、登山のような山城巡りと比べ、今回の鶏足山登山にどのような印象を持ったのだろうか?

「その場で感じたこと、楽しいとか綺麗とか、そういうことを口に出しながら登れるのは自由ですよね。山城ですと、過去に誰が建てたとか住んでいたとか、どんな戦いがあったとか、先入観が混じってしまうので」

どうやら、高萩さんに山を楽しんで頂けたようだ。
《久米成佳》

編集部おすすめの記事

page top