【小さな山旅】パーティ登山で山選び…山梨県・三ツ峠山(1) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】パーティ登山で山選び…山梨県・三ツ峠山(1)

オピニオン コラム
三ツ峠山からの景色を楽しむ。方位盤を見ながらわいわい。友人や仲間と登る山は、一人で登る山との違った楽しみ方がある。
  • 三ツ峠山からの景色を楽しむ。方位盤を見ながらわいわい。友人や仲間と登る山は、一人で登る山との違った楽しみ方がある。
  • 悩みに悩んだ山選び。金時山か、三ツ峠山か。結局、三ツ峠山を選ぶ。富士山の頂上には常に雲がかかっていたが、綺麗な裾野を拝むことができた。
  • 三ツ峠山(開運山)の山頂。電波塔が見えるところが頂上である。
  • 太宰治の小説「富嶽百景」にも登場する三ツ峠山。今回は通常の三ッ峠山登山口から登る。
  • ベンチで友人Kと打ち合わせ。頂上はまだ先だ。少々きつめの登りが続く。
  • 頂上にて。向かって右が初心者N。左が初級者K。中央が筆者だ。
  • 下山後は、吉田うどんを食す。みんなで登って、みんなで食べる。
  • 空腹を満たした後は、みんなで温泉。やまなしフルーツ温泉「ぷくぷく」へ。ここは富士山を見ながら温泉に浸かれる。
地元の友人と山に登ろうという話になった。友人Nは、まったくの山の初心者。友人Kは、少々山に登ったことがある程度。そして、筆者の3人での山行である。

山の熟練者がいない、初心者と初級者だけのパーティ。この中では、未熟ではあるが筆者が一番の山経験者であった。となれば、リーダー的な役割を担うのは必然である。

山行にあたって、まずは登る山を決める。初心者Nがいるので、そのレベルに合わせた山を選ぶ。それでいて、Nに山を楽しんでもらえるような選択がベストである。地元・茨城県の山は初心者に最適な山が多いが、ここは敢えて県外の山に的を絞る。少しばかりでも遠出をすれば、それだけでも旅行気分が味わえて楽しめるのではないかと踏んだ。

日本一有名な山といえば、富士山であろう。その優美な姿は、登らずとも遠くから眺めるだけでも感動を与えてくれる。ならば、その富士山が見える山に行こう。そう思って、初心者でも登れる富士見の山を探した。

標的は、二つの山に絞られた。一つは、神奈川県の金時山(標高1,212m)。金太郎が動物たちと相撲をとったと言われる山である。山頂にはマサカリがあり、富士山も綺麗に見えるという。もう一つは、山梨県の三ツ峠山(標高1,785m)。三ツ峠山、御巣鷹山、木無山の三つのピークからなるこの山は、別名開運山とも言われている。こちらもやはり、富士見の山として知られている。

さて、二つに絞られた山選び。あとは天気次第で登る山を決めることにした。天気予報のサイトで、当日の朝の天気を調べる。どちらの山も山日和いう天気ではない。似たような天気ならば、初級者Kは三ッ峠山の経験があるというので、3人とも行ったことがない金時山に行こうと決めた。

だが、車で高速道路を走っていると、金時山方面の雲行きが明らかに怪しい。再び天気予報のサイトを見ると、予報が悪い方に変わっていた。個人的には雨の登山でも楽しめるのだが、初心者Nには酷かもしれない。

三ツ峠山の天気は、金時山と比べると少しばかりよい。これは、登る山を変更すべきか。しかし、車はもう金時山に向けて走っており、高速道路に乗ってしまっていた。変更すると、到着時間が少々遅くなってしまう。三ツ峠山の天気も、午後からは下り坂だという。どうする? リーダーである筆者は、大いに迷った。

途中のPAに寄り、他の二人が朝食を食べている時も、筆者は一人朝食を食べずに迷っていた。トイレに行って用を足しながらも、喫煙所でたばこを吸いながらも、PAにいた素敵な女性を眺めながらも、筆者の頭の中は天気のことでいっぱいであった。

天気予報のサイトを数分置きにチェック(そんなに頻繁に更新される筈もないのだが)し過ぎて、スマホの電池が残り僅かになってしまった時、筆者は決断を下した。登る山を変えよう。最寄りの御殿場インターで降りて、急遽三ツ峠山に進路を変えた。

登山中の会話、食事、登山後の温泉……。パーティで行く山だからこその、楽しみがある。だが、その楽しさの裏側には、リーダーの山選びの苦悩があるのだ。
《久米成佳》

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