スペイン全土を舞台に3週間かけて行われるステージレース、第69回ブエルタ・ア・エスパーニャ。
第15ステージはオビエドからラゴスデコバゴンガまでの152.2kmで行われ、前半の逃げに乗ったポーランドのプジェミスラウ・ニエミエツ(ランプレ・メリダ)が逃げ切りに成功して山頂ゴールを制した。
総合優勝争いの生き残りをかけた3日連続の山頂ゴールの2日目。序盤からアタック合戦が繰り広げられ、スタートから1時間後に中間スプリントポイント獲得を狙うポイント賞リーダーのジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・シマノ)を筆頭に、ハビエル・アラメンディア(カハルラル・セグロスRGA)、キャメロン・メイヤー(オリカ・グリーンエッジ)、クリストフ・バンデワーレ(トレックファクトリーレーシング)、そしてプジェミスラウ・ニエミエツ(ランプレ・メリダ)による5人の逃げ集団が形勢された。
デゲンコルプはふたつの中間スプリントポイントを1位通過し、着実にポイントを稼ぐ。第13ステージ終了時点でポイント賞2位だったナセル・ブアニ(エフデジュポワンエルエル)はすでにレースを去っていたが、連続する山岳ステージで総合上位陣にポイント賞リーダーを奪われてしまう恐れもある。8ポイントを獲得したデゲンコルプ、第15ステージ終了時点でポイント賞2位のアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)と24ポイント差になった。
後半にカテゴリー2級の山岳ポイントを越え、ブエルタ登場19回目の難関山頂ゴール、コバゴンガに上る第15ステージ。勝負の行方はやはり最後の上りとなった。中間スプリントポイントを獲って一仕事を終えたデゲンコルプは2級山岳過ぎで遅れ、残った逃げ集団の4人で12.2kmの上りとなるコバゴンガへ突入する。
山頂まで残り10km、メイヤーがひとり飛び出した。それに追走したニエミエツは残り5kmでメイヤーを振り切り独走に入る。背後には総合リーダーのアルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)やバルベルデたちが迫っていたが、2位に5秒差で難関コバゴンガでの勝利を手に入れた。
総合上位陣は激しい駆け引きが繰り広げられた。積極的な動きを見せたのがコンタドールだ。総合2位のバルベルデを警戒するのはもちろんだが、総合3位のクリストファー・フルーム(スカイ)の存在が気になっていた。フルームは前日の第14ステージ、最後の上りで一度は遅れを見せたが自分のペースを乱さずに走り、残り500mでラストスパートを見せてコンタドールより7秒先着していた。総合成績も3位に浮上だ。
フルームはこの日も何度もコンタドールたちから遅れるが、ライバルたちの動きに惑わされることはなくマイペースで追走した。最終的にフルームはコンタドールから7秒遅れてゴールすることになったが、脚を使ったコンタドールもバルベルデに5秒リードされてレースを終えることになった。
バルベルデは区間2位となりボーナスタイム6秒を獲得。コンタドールとのタイム差を合計11秒縮めることに成功している。
総合リーダージャージのマイヨロホはコンタドールがキープしている。ダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ)は2級山岳への上りでクラッシュ、一時メイン集団から1分半以上遅れたがアシストたちの尽力もあり区間7位でゴール。総合7位にジャンプアップ。
総合9位だったウイネル・アナコナ(ランプレ・メリダ)は区間22位でタイムを落として総合13位に後退。代わりにコバゴンガの上りで勢いを見せ、区間8位に入ったフランスの22歳ワレン・バルギル(ジャイアント・シマノ)がトップ10に。
第15ステージ終了時点での総合成績は以下の通り。かっこ内は前日の順位。
1位 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)58h 31' 35’'
2位(2位ー)アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)+31’’
3位(3位ー)クリストファー・フルーム(スカイ)+1' 20’’
4位(4位ー)ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)+1' 20’'
5位(6位△)ファビオ・アール(アスタナ)+2' 22''
6位(5位▼)リゴベルト・ウラン(オメガファルマ・クイックステップ)+2' 57’'
7位(10位△)ダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ)+ 4' 55’’
8位(7位▼)サムエル・サンチェス(BMCレーシング)+5’ 02’'
9位(8位▼)ロベルト・ヘーシンク(ベルキン)+5' 11’'
10位(13位△)ワレン・バルギル(ジャイアント・シマノ)+ 6' 36’’
第16ステージは1級山岳が4つ登場する。翌日は休息日になるため区間優勝や山岳ポイントの大量獲得を狙う選手たちが逃げそうだ。
大会は総距離およそ3240km、9月14日まで全21ステージで行われる。
《五味渕秀行》
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