登山ビギナーの筆者にも、友人から山についての質問を受けることがある。
「今度山登りに行くんだけど、何買えばいいの?」
このように頼りにされてしまうと、密かに頼りにされたい願望を持つ筆者は、俄然燃えてくる。
「登山の道具にも、三種の神器というものがあって…」
云々。さも、山に詳しい人物であるかのように振舞うが、改めて断っておくと筆者は登山ビギナー中のビギナーである。
◆筆者のはじめての山準備
実際のところ、「はじめての山登り」に何を持っていけばいいか悩んでしまうのはよくわかる。最近は山に合わせて持っていく物を選ぶ能力が身についてきた筆者ではあるが、「はじめて」の時の持ち物や服装は今思えば山に不釣り合いなものばかりであった。
普段も着ているナイロンのジャケットに綿のカラージーンズ。靴は履き慣れたスニーカー、というよりは、履き古されて靴底が磨り減ったスニーカー。かろうじてザックはカリマーの20リットルであったが、その中身は、水のペットボトル(500ml)が一本(途中で足りなくなった)と、大手量販店で安売りされていた雨具が入っているばかりであった。
◆専門用品でなくても大丈夫だが…
「はじめて」に限らず、山に登り始めた最初の数回は、このような普段着のような格好と装備で山に挑んでいた。
筆者が登っているのは、主に1000mにも満たない低山であるから、このような装備でも何とか生還できてはいた。難易度や天候にもよるが、これくらいの装備でも登れてしまう気軽さが低山ハイクの魅力でもある。だが、それでもやはり不都合はあった。
綿のパンツは汗で重くなり、底が磨り減ったスニーカーでは公衆の面前で見事な転倒を披露した。適当に買った雨具は雨は防げても中は汗でびっしょりに。やはり、それなりの代物であるから、それなりの効果しか得られないのだ。
だが、ザックだけは違った。有名アウトドアブランド「カリマー」のザックは、購入から10年近く経つ今も現役で活躍している。山の道具は高い。だが、高いだけの機能は備わっていると思って良い。
かといって、「はじめて」で全部揃えるのは経済的な負担が大きい。登りながら、何が必要かを見極めて、少しずつ揃えていくのが良いと思う。
《久米成佳》
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