混沌の中でピナレロが示した方向性とは vol.2 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

混沌の中でピナレロが示した方向性とは vol.2

オピニオン インプレ
混沌の中でピナレロが示した方向性とは vol.2
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ピナレロのフレーム造りに変化の兆し
予想をはるかに超えた変貌ぶりに驚く
ヘッド周りの剛性アップがひときわ目立つ。ハンドルへの依存度を高くすればするほど、ドグマ2との差異が際立ってくるからだ。65トンが使われている部分は、まずはヘッドチューブ周辺、もしくはヘッドのねじりを抑える効果のあるトップチューブだと思われる。
ハンドリングは鋭くなっているのに、高い直安性は維持しており、直進ではビシッと安定してみせる。直進状態から転舵すると、“走行モード” が切り替わったようにクルッと回り込み、旋回状態で再び姿勢がビタッと安定する。ピナレロハンドリング・エボIIIという感じ。
しかしここまで走りが変わっているとは思わなかった。発表当初は広報資料を鵜呑みにし、「軽くなっただけならインプレは必要ないかも」 とすら思っていたのだ。予想をはるかに超えた急変ぶりに驚き、色々とその理由を考えた。一年間しごき倒されたドグマ2の試乗車がヘタっているのかもしれない。パーツの組み付け精度が原因かもしれない。各部の馴染みかもしれない。先入観もあるだろう。46.5というサイズに特有の現象であることも否定はできない。代理店はホイールを同じもの (シャマルウルトラ) で揃えてくれていたが、それらの走行距離に差があるのかもしれない (結局、ホイールは同一のもので試乗した)。しかし、それらを考慮しても剛性感の差が大きすぎるように思う。同じ場所で何度も何度も交互に乗り比べてみたが、最後まで印象は変わらず。
フレームの重量減が効いているのだろうか。軽量化による相対剛性の向上 (同じ剛性でも軽くなると硬く感じる) とも考えられるが、ピナレロは元々軽量化にそこまでのプライオリティを置かないブランドである。いきなりキャノンデールやトレックのように700g近辺まで軽くしたというようなことは考えづらい。素材の一部を65トンへと変更しただけでなく、各部の積層パターンもガラリと変えて、フレーム体として剛性方向に振ってきたのではないかと推測する。
ピナレロらしさは希薄になった
これに伴い、“速さの質” も変化した。例えば695SRは、反応は決してキンキンに硬質ではないがグッと踏み込んだときにしっかりとパワーを受け止めて無駄なく路面へと流す設えになっている。EPSもしかり。もちろんドグマ2もそうだった。乗りやすく仕上げられているとはいえ、「本気で踏んだ時にこそ真価を発揮する」 フレームなのだ。だから、それらのインプレでは 「ビギナーには向かない」 と書いた。
ドグマ65.1は少し違う。全くのビギナーでも速いことが明確に分かり、チョイ乗りでも喜べる仕立てになっている。そしてもちろん、「本気で踏んでもちゃんとスゴい」 ところが新型ドグマの見所だ。表面張力パンパンのチャラいモノコックでも低速で這いずり回っているぶんには素人を騙せるが、高速高出力域ではあっさりとボロを出す。新ドグマは、そのような “演出に過ぎない似非加速” とは全くの別物だ。筆者ごときがどんなに頑張っても、本当の力量を窺い知ることなど到底不可能なほど限界が高い。ドグマの美味しいところは、相変わらず高負荷領域なのである。
スーパーシックスやマドン、新型ルーベのような剛性バランスを煮詰めていったタイプのフレームではなく、高剛性を武器として無理矢理速く走らせる、というタイプの武闘派モデルである。しかし、あまりの高性能ぶりに驚くと同時に、“ピナレロらしさ” などというものはもはや幻想にすぎないのかもしれない、とも思った。相変わらず見た目はキャラが立っているが、走りにおいて 「ピナレロというブランドの過去と現在を貫く統一感」 はかなり薄まってきている。
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混沌の2013年、ピナレロが目指したもの
失われたものもある
無視できないのは、その価格だ。フレームセット44万9000円。これは、2012年モデルよりレギュラーフレーム比で約13万円、電動専用フレーム比では実に約19万円のプライスダウンである。素材がよくなったのに価格が下がるとは納得できないが、為替変動や生産性の向上によるものだとのこと。試乗車のカラーリングを見る限り塗装は簡略化されているように思うが、上代が20万円も違えばそもそもクラスが違う。性能を考えると、ドグマ65.1はお世辞抜きでリーズナブルである。ドグマ2を在庫しているショップにはかける言葉が見つからない。
しかし、ドグマ2が納車されたばかりのオーナーも同じように気の毒か、といわれると実はそうでもない。ドグマ65.1になって失われたものもあるからだ。快適性は若干ではあるが先代ドグマ2の方が高いだろうか。また、ドグマ65.1になって、タメとか奥深さのようなものは薄くなってしまったように思う。新型ドグマに乗っていると、「いつまでも走っていたい」 というより、「早く最速タイム出さなきゃ」 という焦燥感に駆られてしまう。バイクが人間と一体となって無我の境地に引き上げてくれるような、そんな人馬一体感には乏しいのだ。これはもはや、あのマグネシウム合金製のドグマとはかけ離れた物体になってしまった。今までのカーボン版ドグマは、どこかあの先祖を意識したトルクの吐き出し方をしていたものだが。
ただ、このような感想は数値化・定量化できるようなものではないため、絶対評価では決してない。あくまでも筆者の体重と好みとフレームサイズ46.5での印象である。我々がよく 「~らしさ」 とか 「湧き上がるようなトルク感」 とか 「心地よいペダリング」 などとホザいているのは、数値化できないボンヤリとしたものでしかない。体型、体重、フレームサイズ、年式、体調、気分によってコロコロと変わる不確定な要素である。
しかし今回のドグマには、なんだか矛盾しているようだが、そんな曖昧なものをダイレクトな駆動力で吹き飛ばす勢いがある。そこまでの完成度とパワーを持ち、硬派の琴線に触れる強烈な魅力を放っている。幻想や情緒を排除して、理詰めで作られた 「正しいレーシングフレーム」 なのである。
混沌の中でも本質を見失わない
軽量性、快適性、エアロダイナミクス、剛性の抑制、トータルバランス、トータルインテグレーション、ディスクブレーキ、油圧ブレーキ、ダイレクトマウントブレーキ…様々な看板を掲げて四方八方へと散らばっていく各ブランドのトップモデル達。この仕事をしていて、これほどまでに頭の痛いシーズンはない。
だがピナレロは、見てくれのいいそんな人寄せ看板には目もくれなかった。トレックのように未来を感じさせるフレームではない。キャノンデールの羽のような軽さも完璧なバランスもない。目新しいブレーキシステムもない。全身エアロでもない。そこをあえて全部無視して…というわけではないだろうが、ピナレロは正攻法である軽量化と高剛性化によって、ドグマを 「古典的だが美しいまでにストイックなロードバイク」 へと磨き上げてきたのである。
目覚しい変化の中でも原点を忘れず。カオスの中でも本質を見失わず。2013シーズンのピナレロは、なかなか潔い。
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