
今週は札幌競馬場で、第60回札幌記念(GII、芝2000m)が行われる。秋のGI戦線へ向けて始動戦となるスーパーGIIとも呼ばれる注目の一戦だ。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬12頭の全頭診断を行う。
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■札幌記念2024 出走予定馬全頭診断
・アウスヴァール
人気薄を覆す激走を見せた前走函館記念。当時は前に行った馬と内枠を引いた馬による決着で、その恩恵を得たことは否めない。当時から大幅メンバー強化かつ斤量4キロ増のここで連続好走は至難の業か。
・ジオグリフ
不振にあえいでいた昨年から一転、今年はGIでも勝ち馬と0秒5差以内とパフォーマンスが安定。条件さえ噛み合えば復活Vのシーンもどこかで見られると思うが、今回は開催を通じて時計の速い札幌芝がネックだ。開催最終週の札幌2歳Sや皐月賞、稍重の共同通信杯に中山記念と重賞での馬券内は時計のかかる馬場に限定。パンパンの良馬場なら思い切って”消し”の選択肢も浮上する。
・シャフリヤール
昨年の本レースは11着と惨敗。当時は悪化した馬場に加えて喉の影響が大きかった印象だ。その後、手術を経てからはBCターフ3着、有馬記念5着、ドバイシーマクラシック2着と立て直しに成功。ジャスティンパレスと接戦という事実を物差しにすれば圧倒的格上と言えるし、有馬記念を見るより小回りコースも数を使われていないだけで苦手と言い切るのはまだ早い。高速馬場傾向にあるいまの札幌芝なら侮れない1頭だ。
・ステラヴェローチェ
前走安田記念は9着。前に壁を作れず脚を溜められなかったことが大きかった印象を受けた。右回りの芝2000m以下は【2-1-1-1】馬券内率80%。今年使われた中距離2戦は持ち時計を更新しており、内枠を引き当てて折り合えれば要警戒の1頭だ。
・チャックネイト
重賞での馬券内は芝2200m以上に限定。芝2000mではスピード不足の感があり、高速馬場傾向にある今開催の馬場を踏まえると強調材料は乏しい。
・ドゥラエレーデ
ダートのエルムSから参戦をはたす異例のローテーション。もうこの馬の臨戦過程に驚くことはなくなったが、少なくとも前走勝っていたら本レースに参戦することはなかったのでは……との疑念を抱いてしまう。競走中止を除く3歳以降の芝レースは10、8着。スーパーGIIだけあって、一線級の馬の参戦も見られるここでは厳しい戦いが予想される。
・トップナイフ
昨年の2着馬だが、当時は3歳馬による斤量の恩恵あり。特殊な馬場コンディションでインからロスなく進出できたこともプラスに働いたのだろう。久々の前走函館記念は見せ場なく敗戦。変わり身は望み薄か。
・ノースブリッジ
良馬場の成績【3-0-0-9】に対し、稍重-重は【3-0-2-0】。時計のかかる馬場に極めて高い適性を持つ馬だ。週末は台風の影響が懸念されるところだったが、現時点の天気予報で土日の札幌競馬場に傘マークはなし。高速馬場傾向にある今開催の札幌はマイナスと言える。
・プログノーシス
ディフェンディングチャンピオンが連覇を目指して参戦。過去10年の札幌記念における、年内に重賞勝ちのあるディープインパクト産駒成績【4-1-1-1】も含め、信頼度を疑う余地はない。ただ、この馬は道中馬群で脚を溜めてイン突き敢行というのが勝ちパターン。後方待機がデフォルトの脚質で大外ブン回しに出た際、インからロスなく運んだ馬に脚元をすくわれるリスクがある点だけ気を付けたい。
・ホウオウアマゾン
陣営がさまざまな条件を使っているが、何をしても馬が変わってこない現状。厳しい。
・ボッケリーニ
2022年以降の非GI成績は【2-7-1-1】。この条件では馬券内率90%を誇っており、前走鳴尾記念は自身の持ち時計更新と8歳でも衰えは一切ない。キングカメハメハ産駒は2017年に1-3着独占と好相性。プログノーシス・シャフリヤールの人気馬2頭がGI前の叩き台ならこの馬の出番かもしれない。要警戒。
・モズゴールドバレル
オープンクラスでは【0-0-0-6】と頭打ちの印象。厳しい。
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UMAJIN.netより一部編集・転載(2024年8月15日 18:00公開の記事)
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。