【バスケW杯】沖縄バスケットボール100年祭開催、“当時のゴール”復元に地域ガイドなど学生ボランティアも尽力 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【バスケW杯】沖縄バスケットボール100年祭開催、“当時のゴール”復元に地域ガイドなど学生ボランティアも尽力

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【バスケW杯】沖縄バスケットボール100年祭開催、“当時のゴール”復元に地域ガイドなど学生ボランティアも尽力
  • 【バスケW杯】沖縄バスケットボール100年祭開催、“当時のゴール”復元に地域ガイドなど学生ボランティアも尽力

FIBAバスケットボールワールドカップ2023は25日に待望の開幕を迎えた。

熱戦が繰り広げられると同時に沖縄県内ではイベントなども開催され盛り上がりを見せている。首里城下町では、世界中、日本中から沖縄を訪れるバスケットボールファンに、沖縄のバスケットボールの歴史や沖縄の伝統文化を体感して楽しんでもらおうと交流型イベント『沖縄バスケットボール100年祭』が開催されている。

このイベントでは、地元の沖縄県立芸術大学や首里高校の生徒たち、地域住民らが参加し、国内外から訪れるバスケットボールファンをもてなしている。

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■沖縄バスケ100周年で当時のゴールとボールを復元

この祭りの取り組みの一つに、100年前のバスケットボールとゴールの復元が挙げられる。首里城は2019年10月に、正殿内部から発生した火災によって正殿をはじめとする9施設が焼失し、現在は復元工事中。火災後に発見された戦前の首里城をおさめた写真には、バスケットボールのゴールが写っていた。

このイベントの発起人である沖縄バスケットボール情報誌『OUTNUMBER』のゼネラルマネージャー・金谷康平氏は「ホストシティのロゴにも首里城が描かれている。20年11月頃に戦前写真に収められたゴールを発見した。ワールドカップが沖縄で行われるこの機会に、沖縄県立芸術大学の張本文昭教授にも加わってもらえた。張本教授は、100年前に首里城にリングがあったという事実に興味を示し、芸大生とともに復元することを提案してくれた」と明かした。

張本教授は「写真を見たときに首里城とバスケが結びつかなかった。明治から昭和初期に学校としての使用された時期があることはあまり知られていない」とし、金谷氏も「首里城にはさまざまな歴史がある。450年続いた琉球王国や戦時中には首里城の地下に旧日本軍が司令部を構築されていた。アメリカ統治下の時代もある。県外の方だけでなく、改めて県内の方々にも首里の歴史を知ってもらえたことが大きい」と続けた。想像以上にゴールが重かったとし、「みんなが協力してくれてありがたい」と安堵の表情を見せた金谷氏が印象的だった。

重いゴールを運ぶ一同 撮影:木村英里

今回復元されたゴールは27日、首里城公園内に設置された。ワールドカップで訪れた人だけでなく、たまたま首里城を訪れたという人も足を止め「100年前にバスケットボールのゴールがあったなんて驚き。さすが沖縄だなと思う。歴史を知れてよかった」と感動を語った。

その後ゴールは首里城隣に位置する沖縄県立芸術大学へと移され、大会期間中は展示されている。 沖縄にバスケットボールが伝わったのは1923年8月のこと。体育教員の玉城亀壽氏が競技バスケを紹介したことがきっかけだという。奇しくもちょうど100年後の2023年8月、FIBAバスケットボールワールドカップ2023が沖縄で開催されたかたちだ。

■学生ボランティアも自国開催のW杯に尽力

もう一つ、『首里城下町バスケットボールゆんたく散歩』という取り組みも行われている。首里高校のボランティアの学生が首里城周辺のおすすめスポットを案内したり、散歩コースの提案をしてくれるというもの。

撮影:木村英里

実際に一緒におすすめの場所を巡ってみた。ゆいレール首里駅をスタートし、首里染織館suikaraや生徒たちが時々訪れるタコライスのお店などを巡り、首里城を目指すルートを歩いた。首里城周辺のこと、学生生活、参加者の地元についてなど様々な話に花が咲いた。首里高校には県内唯一染色デザイン科があることから、首里染織館suikaraを案内してくれたほか、沖縄の高校生が好物だというパンやアイスクリームなども紹介してくれた。

ボランティアの学生は必ずしもバスケットボールファンというわけではなかったが、散歩の時間を通して世代を超えて交流が生まれ、沖縄でしか販売されていないアイスを片手に、散歩の休憩時間には参加者がバスケットボールの魅力を伝えていた。ボランティアに参加した生徒は「首里高校に通っていても知らないことがあった。昨日はフランスから来た方を、英語を交えて案内した」と教えてくれた。ゆんたく散歩は大会期間中の週末に開催されている。受験本番を控えている高校三年生は、夏休み最後のこのボランティアの経験を今後に生かしてもらいたい。

このイベントを通して、改めて沖縄の人々のあたたかさやバスケットボールへの情熱、想い、歴史を知ることができた。自国開催のワールドカップという貴重な機会。会場内のボランティアだけにとどまらず、多くの人々が盛り上げよう尽力している。

撮影:木村英里

しかし、25日に行われた初戦のドイツ戦、ベンチ向かいの席には空席が目立った。試合後の会見で日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチは、「満席と聞いていたのに、満席じゃなかった。次の試合はみんなに来てほしい」と異例のコメントをした。ネット上には「チケットが欲しくても買えなかったのに」とバスケファンの嘆きの声も見られた。馬場雄大は自国開催について、「プレー中の声援に背中押された。これがホームコートアドバンテージ。やっていて気持ちよかった」と語ったが、自身のSNSで空席が目立つ客席の写真を掲載。渡邊雄太もSNSを通して、「昨日の試合チケットは完売で、チケット欲しくても手に入らなかったって人たくさんいるって聞いてるのに、ベンチ前の席ガラガラだったの意味がわからなすぎる 大人の事情らしいけど、来ない人にチケット配るなら、ほんとに来たい人に売ってあげるべきでしょ」と発信した。

これを受けFIBAは、「該当席は複数の法人により購入された座席で、理由は不明ですが昨日開催された試合に来場されませんでした。現在この件について調査を行なっており、以降の試合において同様事案がなきよう、最善を尽くしてまいります」とコメントを翌日発表、その後一部座席が再販された。選手に大会中にこのような発信をさせてはならない。気持ちよくプレーし、試合に集中してもらいたい。運営としては課題が残る面もあったが、選手の努力、そして沖縄の人々の思いを尊重し、大会がさらに盛り上がることを期待したい。 ◆大金星バスケ日本、スラムダンク山王戦と一致した超名場面をFIBA投稿 渡邊×富永が「Slam Dunk vibes」

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。

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