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FIFAワールドカップカタール2022は日本時間14日に準決勝が行われ、アルゼンチンがクロアチアを3-0で下し、決勝進出を決めた。準決勝のもう1試合、フランスとモロッコの一戦は同15日に行われる。試合前日会見に登場した両代表監督は、決勝進出へ向けて意気込みを語った。複数の海外メディアが伝えている。
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■「ベスト4に満足していない」
スペイン、ポルトガルという優勝候補を破り、ベスト4に駆け上がって来たモロッコ。パリ郊外で育ったワリド・レグラギ監督は、フランスとの一戦を前に「準決勝に進出し、アフリカ勢として初の快挙を成し遂げたことに満足しているわけではない。もっと上を目指したい」と意気込んだ。その上で「我々はハングリーだ。アフリカを世界の頂点に立たせたい。優勝候補でないことは分かっているが、自信はある」と話し、あくまでW杯制覇が目標であると改めて強調した。
モロッコはここまで5試合戦って今大会最少の1失点。その1失点もグループリーグのカナダ戦でオウンゴールを献上したもの。堅守速攻を武器にベルギーやスペイン、ポルトガルなど強豪を次々と倒してきただけに、指揮官が口にした「優勝」という言葉も現実味を帯びてくる。
「我々は歴史を塗り替えたい。アフリカ勢にとって次に決勝へ進むチャンスは40年後かもしれない。そこまで待つのは、私は嫌だ。クレイジーだと思われるかもしれないが、決勝に進むにはクレイジーなくらいがちょうど良い」と熱く語った。
■仏のキーマンはグリーズマン
一方、前回王者フランスのディディエ・デシャン監督は「モロッコの守備は非常に良いが、それだけで勝ち上がることはできない」と分析。我慢強い守備からのカウンターも警戒した。
フランスは、最少失点のモロッコとは対照的に今大会最多の11得点を記録。FWキリアン・ムバッペが5ゴール、FWオリビエ・ジルーが4ゴールと抜群の決定力を見せているが、彼らに加えて評価を高めているのがFWアントワーヌ・グリーズマン。本来は前線の選手だが、今大会はトップ下やインサイドハーフを任されており、2-1で勝利した準々決勝のイングランド戦では2アシストを記録するなどハマっている。デシャン監督も「彼はテクニカルなタッチで良いパスを繰り出すが、それと同じくらいタックルも良い。局面を変えることができる」とし、攻撃だけでなく守備でも奮闘する姿を称賛した。
指揮官は「我々は試合ごとに目標を変えることはない。常にボールを持ち、危険なプレーをして、得点を挙げる。試合の前でも後でも、どんな歴史や情熱があろうとも、選手たちはやるべきことをやってくれるはずだ」と締めくくり、連覇へ向けて静かな闘志を見せた。
モロッコは1912年から56年までフランスの植民地となっていたという歴史的背景も鑑みれば、熱くならないわけがない。激しい一戦となりそうだ。
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文●SPREAD編集部