【カタールW杯】日本代表、“死の組”首位通過の歴史的快挙生んだ3人の切り札 森保監督が見せた攻撃的采配 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【カタールW杯】日本代表、“死の組”首位通過の歴史的快挙生んだ3人の切り札 森保監督が見せた攻撃的采配

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【カタールW杯】日本代表、“死の組”首位通過の歴史的快挙生んだ3人の切り札 森保監督が見せた攻撃的采配
  • 【カタールW杯】日本代表、“死の組”首位通過の歴史的快挙生んだ3人の切り札 森保監督が見せた攻撃的采配

サッカー日本代表FIFAワールドカップカタール2022で、ドイツ、コスタリカ、スペインと戦い、2勝1敗の勝ち点6でグループE首位通過を果たした。W杯優勝経験国であるドイツとスペイン相手に逆転勝ちを収めた森保一監督率いるチームは、“死の組”を首位通過する快挙を成し遂げた。

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■90分トータルを考えた選手起用

グループステージの日本の戦いにおいてカギを握ったのが、森保監督の積極的な選手起用と戦術変更だ。

今大会は登録メンバーが23人から26人に、試合中の選手交代が3人から5人に増やされた。初の冬季開催で、欧州リーグを途中で中断してというイレギュラーな形で行われている。各選手が短期決戦で消耗戦を強いられる中で、増やされた選手枠と交代カードをどのように使っていくかはカタールW杯を戦っていく上で重要な要素となった。

そんな中で森保監督は1試合目のドイツ戦で前半に0-1のビハインドを負った中、後半開始時に久保建英に替えて冨安健洋を投入し、最終ラインを3枚にシステム変更。その後も次々に交代カードを切ると、これが功を奏し2-1で逆転勝利。2試合目のコスタリカ戦では5人メンバーを入れ替えるターンオーバーを敢行し、3試合目のスペイン戦では過去2戦は試合途中に使っていた[3-4-2-1]システムを開始から採用し、最終ラインを安定させた。

コスタリカ戦では引いた相手を崩せない、予選から抱えていた課題を露呈させたものの、ドイツ戦とスペイン戦ではボールを握られる時間が増え、前半苦しんだ中でも最少失点でしのぎ、後半勝負に持ち込むことに成功した。相手との力関係を考えた上で、90分トータルから考えての逆算した森保監督の選手起用と采配は、下馬評で圧倒的不利とされていたグループEを首位突破する快挙に不可欠だった。

■存在感放った“日本のジョーカー”

途中出場の選手の重要性がより増した中、3試合連続で途中出場し存在感を放ったのが三笘薫である。

森保監督は先発待望論もあった三笘を3試合ともベンチスタートさせ、後半勝負のために待機させた。三笘はドイツ戦ではドリブルからチ―ムの同点弾を演出し、スペイン戦でも田中碧の決勝ゴールをお膳立てし守備でも奮闘するなど、“日本のジョーカー”と呼ぶに相応しいパフォーマンスで期待に応えた。

また、2試合で値千金の同点弾を放った堂安律の活躍も見逃せない。堂安は後半26分に投入されたドイツ戦で直後の後半30分に同点弾を沈めると、後半開始時に入ったスペイン戦でも後半3分にミドルシュートを沈め、停滞していた日本の流れを一変させた。昨夏の東京五輪で10番を背負い、今季はブンデスリーガ2位のフライブルクで主力を担う左利きのアタッカーが果たした役割は大きい。

守備面では冨安の存在が日本の最終ラインに安定をもたらした。太ももの状態が心配されていた冨安は、ドイツ戦で後半開始時に投入されると3バックの一角で守備と攻撃時の配給で貢献。コスタリカ戦を回避したものの、スペイン戦では2-1と逆転した後半23分に鎌田大地に替わり投入され右WBを務め、相手左サイドの攻撃をシャットアウトした。板倉滉が累積警告で決勝トーナメントのクロアチア戦に出場停止となった状況で日本の守備のキーマン冨安の起用法はポイントとなる。

■浅野、南野らが控える分厚い選手層

日本は組み合わせ抽選時に“2強2弱”と揶揄される声も挙がり、ドイツ、スペインの勝ち上がりが予想されていたグループを首位通過した。

ドイツだけでなくスペイン相手にも後半勝負の逆転劇で退けてみせた今の森保ジャパンは今大会屈指のダークホースと呼べる存在である。クロアチアとの対戦が決まっている今後の決勝トーナメントの戦いでも、相手の特徴をつかんだ中で、試合途中での戦術変更や途中交代で流れを引き寄せることは求められてくるだろう。

GSでは三笘や堂安、冨安の存在感が際立ったが、ほかにも初戦で決勝ゴールを奪いヒーローとなった浅野拓磨や、堂安の同点弾に絡んだ南野拓実、三笘とは異なるドリブルで違いを生み出せる相馬勇紀らもいる。攻守においてハードワークができるタレントが控えており、大会を通して選手層に厚みが増してきた今の日本代表を、GS突破の原動力となった森保監督の采配で優位に立たせられるかは、日本にとって4度目の決勝トーナメント進出となった中でカギを握る。

優勝経験国2チームが共存した大会きっての“死の組”を首位通過する歴史的快挙を成し遂げた日本代表。

森保監督の積極的な選手交代と戦術変更を合わせた巧みなベンチワークで、発足時から目標に掲げていたベスト8進出への第1ステップを潜ってみせた。ここからさらに勢いに乗っていけるか…さらなる期待がかかる。

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文●井本佳孝(SPREAD編集部)

《SPREAD》
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