【スーパーフォーミュラ】山本尚貴が3度目の王者戴冠 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【スーパーフォーミュラ】山本尚貴が3度目の王者戴冠

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【スーパーフォーミュラ】山本尚貴が3度目の王者戴冠
  • 【スーパーフォーミュラ】山本尚貴が3度目の王者戴冠

12月20日、富士スピードウェイで今季最終戦となる全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦が行われ、予選2番手の坪井翔(セルモ・インギング)が優勝。激戦のドライバーズタイトルは、5位に入った山本尚貴(ダンディライアン)が制した。

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■波乱の予選 キャシディがまさかの最後尾スタート

最終戦までもつれ込んだタイトル争いは第6戦までに55ポイントを獲得している平川亮(インパル)、同じく55ポイントの山本尚貴(ダンディライアン)、47ポイントの野尻智紀(無限)、46ポイントのニック・キャシディ(トムス)の4人に絞られた。

1戦あたり獲得できるのが予選ポイントを含め最高23ポイントということを考えると、山本も平川もそれほど有利ではない。他のスポーツでは、それまでの成績が良い選手が最終戦でも優勝候補となるのが普通だが、20人の力が拮抗するスーパーフォーミュラはそうはいかないからだ。僅かなミスでノーポイントも十分ありえるため、タイトルの行方はこの時点では誰にも予想ができなかった。

最終戦決勝のグリッドを決める午前中の予選で、まず不利な状況に陥ったのがキャシディだった。トラックリミットオーバーでベストタイムを抹消され、最後尾の20位に沈んでしまったのだ。逆に有利になったのが予選3位の山本で、1ポイントを加算しタイトル争いをリード。野尻もポールポジションを獲得し、3ポイントを加算した。山本は野尻が優勝しても2位に浮上できればタイトル獲得、3位以下に終われば野尻がタイトル獲得となる。予選後は2人がタイトル候補としてクローズアップされた。ところが決勝では、予選8位の平川が再び絡んでくることになる。

■逃げる山本尚貴、追う平川亮 勝負の結末は……

その予選終了から約3時間後に行われた40周の決勝では、早くもスタート直後にそれまでのタイトル争いの優劣が変化することになった。ポールの野尻が出遅れ3位に後退、山本も4位へ。そして8番手スタートの平川が6位に浮上。野尻がまだ4人の中では一番前だが、ポイント差から見るとやや難しい状況に。そして、ここで最も有利になったのが山本で、平川もあと2つ順位を上げ山本の前に出られれば逆転タイトルと、可能性が見えてくる。その平川は4周目に5位に浮上し、さらに可能性を高めた。

このレースでは最低1回ピットインしタイヤ交換を行うことが義務付けられており、そのタイミングやピット作業の速さも、戦略として有効になる。そして14周目にピットインした平川が、15周目にピットインした山本を逆転。この順位のままチェッカーとなれば平川がタイトル獲得だ。だが山本は、コース上ですぐに反撃。このバトルが最終的に、タイトル争いのクライマックスとなった。バトルに勝利したのは山本だった。終盤、猛追してきたキャシディに抜かれ5位に後退はしたが、平川には前を譲らず、3度目のタイトルを決めた。

レース前は「タイトルのことは考えず、目の前のレースに勝つために走る」と語っていた山本だったが、いざレースがスタートし平川が背後に迫ってからは「今やるべきことはチャンピオンを獲ること、そのためには何をしらた良いのか」を考え走っていたという。2度のタイトル経験があるがゆえの、ここぞというときの冷静さが3度目タイトル獲得の決め手となったように思う。

そんな2人の前方では、若手3人のドライバーにより優勝が争われた。スタートでトップに立った坪井、同じくスタートで2位に浮上した松下信治(ビーマックス)、7位から追い上げた大湯都史樹(ナカジマ)による接戦は、最終的に坪井に軍配が上がった。1年目、2年目の若手が、シーズン終盤にきて山本をはじめとする実績のあるドライバーを凌駕したということだ。これで来季はさらに、スーパーフォーミュラが面白くなるような予感がした。

予選2番手だった坪井翔が、今シーズン最多勝となる2勝目をマーク

文・前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

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