山本千夏、篠原恵が共に駆け抜けた16年間 バスケットは「人生だった」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

山本千夏、篠原恵が共に駆け抜けた16年間 バスケットは「人生だった」

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山本千夏、篠原恵が共に駆け抜けた16年間 バスケットは「人生だった」
  • 山本千夏、篠原恵が共に駆け抜けた16年間 バスケットは「人生だった」

3月23日、新型コロナウイルスの影響により、Wリーグは今シーズンの中止を決定。選手達にとって、とても悔いが残るシーズンとなったのではないだろうか。


そんな状況の中、ファンや選手達から惜しまれながらも引退を表明した二人の選手がいる。富士通レッドウェーブの山本千夏篠原恵だ。二人は東京成徳大学中学校、高校、富士通と16年の月日を共にプレーした。


同級生にはJX-ENEOSサンフラワーズ 渡嘉敷来夢など、まさに黄金世代の二人は、日本代表への選出も含めて日本女子バスケットボール界を長い間牽引し、最前線で活躍してきた。


≪文・中川聴乃≫


運命的な出会い



篠原恵 ©Nanoassociation/FUJITSU SPORTS



最初の出会いは小学校6年生。東京成徳大学中学校に進学を決めた入学前、バスケット部の練習に参加した時だった。当時の互いの印象を山本は「ただただ身長が大きい。初めてこんな大きい人を見た(当時178)」、篠原は「大人しくて、凄く身体が細い」と話している。


山本はインドア派、篠原はアウトドア派とそれぞれタイプが全く違う二人だが、今ではお互い“家族のような存在”だと話す。


人前で決して弱音を吐かない二人は社会人になった頃、怪我などで互いに上手くいかず、部屋で一人悩んで泣く事も多々あった。そんな時、それぞれの部屋に冷やしタオルを持って渡しに行く事が二人にとっての日課だった。


メールで励まし合うなど、普段から一緒にいるわけではないが、中学時代から厳しい練習に励み、全国大会など数々の試練を一緒に乗り越えてきた二人だからこそ、言葉を交わさなくても分かり合える特別な絆があったのだ。


仲間と共に歩んだ現役生活


毎年スター選手を多く抱え、安定した成績を残している富士通だが、チームを支えてきた多くのベテラン選手達が引退し、世代交代に戸惑った時期があった。ベテラン達がいなくなった穴は大きく、チーム内でのコミュニケーションに悩んだり、練習でも締まりがない日々が続いていたという。


そんな時、スターターとして一緒に試合に出場していた同級生の篠崎澪、一学年下の町田瑠唯との4人で話す機会が増えた。山本以外は言葉で伝えるよりも背中で見せるタイプ。それでもなんとかチームを良くしていきたいと、試合後や練習後など自然と4人で集まるようになっていった。


そのかいあって、世代交代をした2年目のシーズン、チームは目標であるファイナルへの切符を手にする。山本は、この試合を今までで一番印象に残っている試合として挙げている。


ファイナル出場を目指して頑張ってきた事が結果に繋がり、実力を発揮できた試合でした



山本千夏 ©Nanoassociation/FUJITSU SPORTS



代々木第二体育館がファンで埋め尽くされた中での試合は特別で、今でも忘れられないという。


最後の現役生活、今年こそは必ず優勝したいという気持ちが一段と強かったシーズン。篠崎、町田も同じ気持ちで戦ってくれていたという二人は、今シーズンが途中で中止になった事に悔しさを隠しきれなかった。


しかし残った後輩達に「これから沢山辛い事があると思うけど、富士通らしいチームワークの良さで、必ずまたファイナルの舞台へ行き、体育館が再び満員となり、沢山の人達から応援される舞台でプレーしてほしい。きっとできると信じている」と力強くエールを送った。


バスケットは「人生」だった


今日に至るまで常にバスケットと共に歩んできた二人に、これからについて少し聞いてみた。


山本は、今一番やりたいことはケーキをワンホール食べること。現役時代の食生活は細かく管理されていた分、今は何も気にせずに思いっきり好きなものを好きなだけ食べたいと無邪気な笑顔で話してくれた。引退後は、そのまま会社に残り富士通の社員として働くことになっている。


一方で、旅行をすることが好きでシーズンオフには毎年海外旅行に行くという篠原は、引退後は海外留学をしたいと話してくれた。今までバスケットに人生を捧げてきたので、これからはもっと広い世界を見てみたいという探求心が一段と強くなっているようだ。コロナの影響で留学する時期が読めない状況だが、目標に向けて準備を進めているという。


バスケットは私の人生


引退が惜しまれる二人だが、これからの人生はきっと、現役生活で得た経験が必ず助けになると確信する。沢山の人と出会い、苦難を乗り越えた経験が二人を支え、更に輝きのある人生を歩むことだろう。


そんな二人のこれからの人生に心を込めてエールを送りたいと思う。そして、ファンを代表して伝えたい。最高のプレーをありがとう


≪筆者プロフィール≫
文・中川聴乃
長崎市立仁田小学校の小学4年の時からバスケットボールを始め、純心中学校・純心女子高等学校に進学。中学2年時ではレギュラーでスタート出場し、全国大会でも主力で活躍。中高一貫校で高校に進学後、長崎県選抜 に選出、 U-18代表にも選出された。日本一になりたい思いを抱き、高校1年時の冬に桜花学園高校に転入。 高校3年生時、日本代表に選出。2006年3月、同高校卒業、シャンソン化粧品に入社。 2006年ドーハアジア大会の日本代表に選出される。その後はケガのため出場機会が激減したが、2012-13シーズン に復帰。2013年、デンソーアイリスに移籍。2015年5月に現役引退。2016年2月に退職し、同年4月からジャパン・スポーツ・マーケティングに所属。現在、バスケットボール中継の解説者やリポーター、バスケットボールの競技広報活動を行っている。
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