設楽悠太、東京マラソンへ向け思いを語る 「五輪がかかっているとは深く考えず、自分のレースができればいい」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

設楽悠太、東京マラソンへ向け思いを語る 「五輪がかかっているとは深く考えず、自分のレースができればいい」

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設楽悠太、東京マラソンへ向け思いを語る 「五輪がかかっているとは深く考えず、自分のレースができればいい」
  • 設楽悠太、東京マラソンへ向け思いを語る 「五輪がかかっているとは深く考えず、自分のレースができればいい」

マラソンの前日本記録保持者、設楽悠太選手(Honda)が3月1日に開催される『東京マラソン2020』に出場する。


同学年で現日本記録保持者大迫傑選手(Nike)との、2020東京五輪マラソン男子日本代表の最後の1枠を争った直接対決を前に、ライバルへの思いや世界に挑む気概など、熱き闘志を秘めながらもいつものように淡々とした言葉でその気持ちを語った。


日本記録をマークした2018年以来の東京マラソン出場


『東京マラソン2020』はMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)ファイナルチャレンジとして、2020東京五輪マラソン男子日本代表の最後の1枠を懸けたレース。


日本新記録相当の2時間05分49秒を上回り、最も速いタイムを出した選手1人が五輪代表に内定する。その記録を上回る選手がいない場合、MGC3位の大迫選手が五輪代表となる。


設楽選手は2年前の『東京マラソン2018』で、当時の日本記録となる2時間06分11秒をマーク。その記録は同年のシカゴマラソンで大迫選手に破られたが、2年ぶりの東京マラソンに出場する決意を固めた。


さらに今回は大迫選手もエントリーするので、東京五輪代表を懸けての直接対決となる。


「2年前の東京マラソンでは、日本記録を更新しようなんて思っていませんでした。それでも沿道の大観衆の声援が僕の背中を押してくれた。頑張ってよかったと思っています」


今回の東京マラソン出場については、「五輪がかかっているとは深く考えず、自分のレースができればいい」と淡々と話しながらも、ここまでの練習に裏付けられた自信がのぞく



(c)Getty Images



同級生・大迫傑への思い「2人そろっていい走りができればいい」


同学年の大迫選手との同期対決にも、おだやかな表情を保ちながら決意を見せる。


同級生である大迫選手の頑張りは僕のモチベーションにもなっています。東京マラソンでは2人そろっていい走りができればいい


その発言の裏には、「これだけ練習したら負けない」という自負と、「これだけ練習したのに大迫選手が速かったら、彼のほうが強かったということ」というハイレベルでのリスペクトがある。



撮影:山口和幸



「2時間5分台なら東京五輪を辞退」発言の真意


東京マラソンに出場する国内有力選手にとっては、東京五輪の代表に内定する2時間05分49秒を切り、さらに日本選手のトップでゴールすることがターゲットとなる。ところが最近報じられた設楽選手の発言によって、状況が変わってきた。


2時間5分台で日本記録を出しても、それでは世界を相手にメダル獲得は期待できないので東京五輪は辞退すると思う」と発言したのである。


この日、設楽選手はその真意を丁寧に説明した。


4分台を出さないと応援していただいている人の期待に応えられないと思っているんです。だから東京マラソンでは自己ベストよりも3分速いけど、ハイペースの戦いに挑みたい。それで海外の選手に負けたらダメという思いがあって、攻めの走りをしっかりとしていきたいんです



(c)Getty Images



厚底シューズ問題にもブレない姿勢 提供されたものでベストを尽くす


さらに一部では、五輪出場よりも日本新記録更新時に功労金として提供される1億円目当てと報じられたが、実際に設楽選手に対面してその気持ちを聞くにつれて、スポーツ選手としての素朴な思いに気づく。


マスコミを前に「2億円目を狙います」とは言うものの、前回の1億円の使途は「後輩たちとごはんを食べにいったり、お世話になったたくさんの人にプレゼントするものを買ったり」という程度。


そして3月の東京マラソンで再び日本新記録の1億円を獲得しても、「当日の気象状況も分からない中で日本新を狙えるとも思っていませんが、獲得したらなにに使うかと質問されたら前回と同様だと思います」という。


ナイキ製の厚底シューズが社会現象にもピックアップされるような話題になっているが、設楽選手のシューズに関する思いにブレはない。ナイキ社が最新のプロトタイプを用意しているという話題を聞かれても、設楽選手はまったく表情を変えない。


「ナイキから特に話は聞いていません。僕は提供されたものを使用し、その性能を最大限に発揮できる走りを心がけて、全力でゴールを目指すだけです



撮影:山口和幸



「日本で走っているだけでは世界に勝てない」


運命を懸けた3月1日。設楽選手は普段からの生活をしながら当日を迎えると語る。次戦は招待枠で走る2月2日の香川丸亀ハーフマラソン。東京マラソンへの調整レースとしてトップランナーの多くが参加するが、設楽選手の気持ちは揺るがない。


招待選手として出場させてもらうからには、大会を盛り上げることが役割だと思っています。もう日本のレースには出ないんじゃないかと報道されていますが、これからも実業団選手として駅伝にも出るし、日本各地の大会にも出ます。僕の発言の真意は、日本で走っているだけでは世界に勝てないと思っていることなんです」


淡々とした語り口には見せない意志の固さ、人には見せないハードトレーニング。設楽選手が東京マラソンでどんな走りを見せてくれるかに期待したい。



東京五輪に出場するための目標タイムとなる「2時間05分49秒」の電光掲示板と記念撮影 撮影:山口和幸



≪山口和幸≫


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