1月6日放送のNHK『ハートネットTV』に車いすフェンシングの藤田道宣選手が出演する。
今回はパラスポーツの魅力を深掘りするパラマニアの第20弾。車いす上で目まぐるしく剣を交える様子をスーパースローカメラと、剣の軌跡を収録できる新開発のシステム『ソードトレーサー』で解析していく。
反射神経が勝負を決める世界「車いすフェンシング」。「アレ!」というかけ声にどれだけ速く反応できるか。「高速の一撃」の驚きのスピードが明らかに!日本のエース・ #藤田道宣 選手がライバルに勝つための目からウロコの秘策とは?
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海水浴中の事故で頸髄損傷 太田雄貴の勧めで車いすフェンシングを始める
藤田選手はフェンシングの名門・平安高校出身。1学年上の先輩には2008年北京オリンピックフルーレ個人、2012年ロンドンオリンピック団体で銀メダルを獲得した太田雄貴さんがいる。
藤田選手がフェンシングを始めたのは高校から。だが、メキメキと力をつけ3年時にはインターハイに出場する。龍谷大学でも1年の時にインカレ7位、全日本選手権でもベスト16に勝ち進み将来を嘱望された。
だが、大学2年生だった2006年に海水浴中の事故で頸髄を損傷。下半身に麻痺が残り、上半身も握力は右手がゼロ、左手も15キロほどしかない。
突然の事故で自分の障害を受け入れられないでいた藤田選手。そんな時に「退院したら車いすフェンシングをやってみないか?」と勧めてくれたのが、見舞いに訪れた太田さんだった。
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太田雄貴さん (c)Getty Images
太田さんの言葉で再び世界を目指し始めた藤田選手は、試行錯誤しながら車いすフェンシングで結果を残し始める。2018年にはアジアパラ競技大会のフルーレ(カテゴリーB)で銀メダル、エペ(カテゴリーB)でも銅メダルを獲得。ワールドカップカナダ大会でも3位に入った。
4年前のリオパラリンピックには出場できなかったが、落選の悔しさをバネに東京パラリンピックでは有力候補に成長した。
車いすフェンシングのルール
車いすフェンシングは剣やマスク、ウエアなどの道具はフェンシングと同じものを使う。ピストと呼ばれる装置に車いすを固定し、上半身だけで競技するのが違い。
基本ルールはオリンピックのフェンシングと一緒だが、前後のフットワークが使えず、相手との距離も近いため剣さばきのテクニックやスピードが重要になってくる。
選手は障害の程度によって2つのカテゴリーに分けられる。カテゴリーAは『腹筋が使え、自力で座った姿勢を維持できる』選手が対象。カテゴリーBは『腹筋が使えない、もしくは剣を持つ腕に障害がある』選手が対象となる。
パラリンピックへの出場は世界ランキングで決まるが、詳細は大会ごとに見直される。東京大会の出場枠は2020年4月の国際連盟理事会で決定される。