サルデーニャ島で開幕した記念大会。初日はボーラ・ハンスグローエのルーカス・ポストルベルガー(オーストリア)が残り1kmから飛び出して逃げ切った。イタリアと接する国のなかで唯一区間勝利がなく、首位のリーダージャージー「マリアローザ」を獲得した実績もなかったが、ともに同国初めての快挙。
「三大ステージレースに出場するのも、サルデーニャ島に来たのも初めて」という25歳は、「チームとしても最良の日だし、ボクのキャリアとしても同じ。今大会は欠場しているけど、エースのペテル・サガンから戦法を学んだ。今年の夏はこの思い出深いサルデーニャ島でバカンスを過ごす計画を思いついた」とニヤニヤ。
その後、マリアローザは日替わりで選手の間を点々とした。

〈第3ステージ〉トルトリ~カリアリ 148km
大会4日目は地中海のサルデーニャ島からシチリア島までの移動日。選手らは第3ステージ終了後に2機のチャーター便で、関係車両とスタッフは大型フェリーで海を渡った。
第3ステージが終わって、マリアローザはクイックステップフロアーズのフェルナンド・ガビリア(コロンビア)のもとにあって、「目が覚めたら部屋の中にマリアローザが飾ってあった。チームメートに支えられていることを改めて感じた」と喜びをかみしめていた。
総合優勝争いが本格化したのは第9ステージだ。モビスターのナイロ・キンタナ(コロンビア)が上りのゴールまで独走。総合優勝した2014年の2勝以来となる大会通算3勝目を挙げるとともに、総合成績でも一気に首位に立った。
さらにキンタナは、区間1位のボーナスタイム10秒を含めて1分10秒差をバーレーン・メリダのビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)につけ、総合優勝争いの主役に躍り出た。
「チームのアシスト陣を含めてこの大会に周到な準備をして臨んでいる。ライバルとのタイム差はまだ少ないが、チームの総合力でリーダージャージーのマリアローザを守り抜きたい」とキンタナ。

〈第9ステージ〉モンテネーロ・ディ・ビザッチャ~ブロッカウス 152km
この第9ステージでは、残り14km地点で優勝候補だったスカイのゲラント・トーマス(英国)とミケル・ランダ(スペイン)が落車に巻き込まれて脱落。トーマスは5分、ランダは27分近く遅れて総合優勝を争うのは絶望的になった。
こうして第100回大会は前半の10日間が終了し、3年ぶりの総合優勝を目指すキンタナが首位。上りが得意なキンタナは、各ステージの終盤まで強力なアシスト陣にけん引され、勝負どころで一気にスパートする作戦。軽量なため単独で長距離を走り続けるパワーがなく、後半戦もチームの総合力が頼みとなる。
2年連続3度目の優勝をねらうニーバリは、「キンタナのスタイルはあまり好きではない」と地元ラジオ局のインタビューで口をすべらせている。
「キンタナとは会話しない。アルベルト・コンタドールやファビオ・アルーとはいつも気軽に話しかけているけど」
組織力に頼ってマリアローザを着るキンタナを、若い時代からたたき上げられてきた欧州勢はよしとしない風潮があるようだ。南米の山岳スペシャリストをたたき落とそうとする包囲網が後半戦のキーとなる。