その美しさは、西行法師や水戸光圀が矢祭山の詠を残していることからも、大昔から今に残る伝統的な風景であると思われる。
だが、ただ眺めるだけでは勿体無い。矢祭山には多種多様な動植物が生息しており、山から眺める里山の風景もなかなかのもの。標高が低いため、登り甲斐はそれほどないが、ちょっとしたハイキングを楽しみたい方にはもってこいの山である。という訳で、今回筆者が歩いたルートをご紹介したい。
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まず、写真の場所から矢祭山公園内へ。鮎の塩焼きやだんごを売っている売店を向かって左に、月見橋を右に見て、前方にある階段を上る。
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階段を上り終えてすぐに、細い踏み跡がある。目印は細い木が一本。ここが見逃しやすい(筆者は一度通り過ぎた)。
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道を少し登ると、右手に岩場が見える。ここが最初の見晴らしスポット。遠方には福島県の山々、そして、手前に見えるのが、矢祭山の奇岩たち。この風景が素晴らしい。
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岩場から登山道に戻って、ちょこっと進むと第2の見晴らしスポットの岩場が現れる。ここからは眼下に久慈川やあゆのつり橋が見える。
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その後、しばらく尾根道を歩くと、左右に分かれる分岐点が。ここは迷いどころだが、向かって右手に進む。
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最後の分岐は、伐採地の景色が眺められるところ。
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左に行くと雷神社。
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右に行くと矢祭山の頂上だ。
筆者が矢祭山に登った時期は、ちょうどツツジの花祭りを開催していた。そのせいか、登山客は皆無(途中でひと組出会ったが、頂上まで行かずに引き返していた)。それでも、登ってみると、ちょっとした楽しみがある。
ちょっとした眺めの良さだったり、ちょっとした自然と触れ合えたり、ちょっとした冒険気分が味わえたり。そんな「ちょっとした楽しみ」を味わえるのが、低山の楽しみだ。「ちょっとコンビニへ」行く気分で、矢祭山のような低山に登ることを楽しんでもらえたら。