ツール・ド・フランスを頂点とする自転車レースとゆるキャラが守備範囲のボクなので、ぐんまちゃんを取材することがかなり多い。加えてボクは群馬県前橋市で生まれ育ったということもあり、ぐんまちゃんへの思い入れは人一倍強い。
2014年のゆるキャラグランプリ投票の際には「ぐんまちゃん応援企業」に登録して、毎日地道にWEB投票で1票を投じていたくらいだ。
先日、「すき焼き自給率100%」という同県の強みを生かして群馬県産農産物の魅力を全国に発信していくことになり、イメージキャラクターとしてぐんまちゃんが駆り出されることになった。東京・日本橋にある老舗すき焼き店「伊勢重」でぐんまちゃんを取材するチャンスを得たので、囲み取材の時に思い切って「ぐんまちゃんは昔、ゆうまちゃんだったよね」と質問してみた。
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東京・日本橋の老舗すき焼き店「伊勢重」にぐんまちゃんが乱入
ちょっと話が脱線するが、ゆるキャラを取材する際は独特のテクニックが必要になる。ゆるキャラに質問を投げかけるときは、必ず隣にいるおねえさん(たいていは若い女性なので)に聞こえるように質問するのが礼儀だ。そうすると、おねえさんが確実に代弁してくれる。
船橋市の非公認キャラ「ふなっしー」のように「なかのひと」が耳で聞いて、質問に直接返答してくれるのは異例。たいていのゆるキャラはしゃべれないし、食べられないし、器用になにかを手に持ったりできない。そのあたりはゆるキャラの特性を考慮して、取材記者として寛容に対応してあげないといけないのだ。
で、話をもとに戻して「ぐんまちゃんは昔、ゆうまちゃんだったよね」という質問。ぐんまちゃんの顔色に変化はなかったが、明らかにその場にいた群馬県庁の担当責任者にはピン!と来たようで、「よく知ってますね」と感心しきり。そりゃそうだ。ボクはグンマーなのだから。
話を簡単にまとめると、1983年に群馬県で第38回国民体育大会(あかぎ国体)が開催されたとき、マスコットキャラクターとしてマンガ家・絵本作家の馬場のぼる(故人)にデザインを依頼して、誕生したのが「4本足で走る馬」の初代ぐんまちゃんだ。
国体開催時には各家庭にかわいいぬいぐるみが配布されるのだが、記憶にある限り、それは4本足の馬だった。さて、国体終了後も引き続いて群馬県のマスコットとして活躍してほしかったのだが、群馬県に著作権を移すときに「デザインの変更」を含めなかったため、2通りのポーズしか取れず、ゆるキャラとして広く活躍するには限界があると判断されたのだ。
そこで群馬県はなにを英断したのかというと、ゆうまちゃんとしてデザインされた2本足のポニー(子馬)を二代目ぐんまちゃんに抜てきしたのである。デザインをしたのは県の女性職員で、「馬場のぼるさんのぐんまちゃんのチビッコ版」をイメージして描いたキャラだという。ちなみに、ゆうまちゃんは男の子でも女の子でもない、7歳のポニーという設定だ。
そんなゆうまちゃんが二代目ぐんまちゃんに起用されるきっかけとなったのは。2008年に群馬県のアンテナショップとして銀座の晴海通りと昭和通りの交差点に「ぐんま総合情報センター(通称ぐんまちゃん家)」がオープンしたこと。「ゆうまちゃん」は「二代目ぐんまちゃん」と改名して、群馬のPRに活躍することになる。
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パティシエの鎧塚俊彦氏とぐんまちゃんがコラボ
ぐんまちゃん家はボクの仕事場の近くにあって、たまに店頭に立つぐんまちゃんを見かける。あるときは隣のおねえさんがひと抱えもある大袋とキャスターバッグを持ってタクシー待ちをしているところを目撃したことも。たぶんそれはぐんまちゃんの都内出張なのだと思う。
1月31日には、パティシエの鎧塚俊彦氏とゆるキャラグランプリのぐんまちゃんがコラボレーション。「ぐんまのやよいひめ× Toshi Yoroizuka記者発表会」が東京・六本木にあるToshi Yoroizuka ミッドタウン店で行われ、群馬県産のいちご品種「やよいひめ」を使用した新作スイーツ「やよいひめパフェ」が発表された。ぐんまちゃんもここにかけつけて、異色のツーショット撮影に臨んだ。
●パティシエ鎧塚、群馬県産イチゴで自信作…新作イチゴパフェはワインとマリアージュ
こうして精力的に活動するぐんまちゃん。疲れたのか、たまにベンチに腰かけている姿を見かけるが、おねえさんが近づいて耳打ちすると、ハッとわれに返って立ち上がる。そんなかわいらしいしぐさにもうゾッコンなのである。