---:リオデジャネイロ五輪はご覧になりましたか?
井岡:もちろん観ていました。出場する選手はそこ人生をかけていたり、ストーリーがあると思うのですが、客観的に観る僕たちからすれば大きな楽しい大会として観させてもらいました。
そこにはぜんぜんルールのわからない競技があったり、オリンピック4度目の優勝とか、いろんなことがあってすごい刺激になる。あれを観て考えさせられるし、何気なくは観れない。すごいエネルギーをもらいました。
---:印象に残った競技は?
井岡:体操ですね。内村航平選手は同い年だし、スタートは鉄棒で落ちてしまったけど、大逆転で金メダルを獲って。どう言っていいかわからないですけど、言葉のつまる感動をもらいました。
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井岡一翔選手 (c) Getty Images
■自分の強さを、成長を感じたい
---:ボクシングは他の競技と違い、対戦相手と直接拳をぶつけ合います。立ち向かっていく気持ちを奮い立たせる秘訣はありますか?
井岡:(試合の)当日に何を思ってもすでに遅いと思う。いかに自分と向き合って、自分に嘘をつかずにやってきたということが、それが事実になる。それがあれば当日の自分にどんな言葉をかけても奮い立つと思うので、普段の、毎日の積み重ねが自分を奮い立たせる一番のものじゃないかな。怖さというものは(試合当日は)なくなっている。
---:井岡選手にとって、ボクシングの一番の魅力は?
井岡:まずは男として生まれて、何か強さとか、何か特化したものを求めるなかで、ボクシングという格闘技で強さを証明することは男としてのステイタス、魅力という部分ではすごく強い魅力だと思う。それでなおかつ、ぼくは叔父さんが身近にいて、やりたいと思って、それが自分の職になったことはすごい幸せ。個人競技でリングにふたりだけが立って、どちらかが勝つということにも魅力を感じます。
---:今後の目標を教えてください。
井岡:具体的な目標というのはちょっとわからないですね。この階級で強さを証明したい、じゃあどうすればいいかというと統一チャンピオンとか、それは考えますけど。三階級を制覇したように、必ずこの階級で統一チャンピオンになるためにやっていきたいというこだわりはないし、目標というか、強くなりたいし、強くなれると思うから今はやっているので。
目標というより自分の強さを、成長を感じたい。感じるために頑張って、応援してくれる人や世の人に伝えられるものがあれば、それだけでやりがいはあるんじゃないかなと思います。
●井岡一翔(いおか かずと)
プロボクサー。1989年3月24日生まれ、大阪府出身。アマチュア時代に東京農業大学へ進学、北京五輪代表選考で敗れたことで2年で退学を決意。プロデビュー後は6戦全勝で日本ライトフライ級チャンピオンを獲得し、国内史上最速となる7戦目でWBC世界ミニマム級チャンピオンに輝いた。2012年12月にWBA世界ライトフライ級で二階級制覇、2015年4月にWBA世界フライ級で三階級制覇。
協力(取材):アディダス ジャパン