●YPJ-R実走記その1
●YPJ-R実走記その2
●YPJ-R実走記その3
そのヤマハからニューモデルが誕生。試乗会が催されるということで、さっそく出掛けました。会場となった味の素スタジアム、その会議室には歴代のモデルが展示されています。なかでも目を引いたのが、シルバーとブラックに塗り分けられた細身のロードバイク。恥ずかしながら存在すら知りませんでしたが、聞けば2013年の東京モーターショーに出展したコンセプトモデル「YPJ-01」とのこと。
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2013年の東京モーターショーに出展したコンセプトモデル。トレンドを先取りした仕様が目を引く
ディスクブレーキの採用やスマートフォンのアプリを利用したディスプレイなど、トレンドを先取りした仕様が物欲をかきたてます。ただ、「これが市販されていたら…」とのあらぬ妄想は、社員の発した「私の年収でも手が届きません」の冷静なひと言でなえました。
引き続いてMTB仕様の「YPJ-MTB」や競輪の先導車「YPJ-K」を眺めるうち、ニューモデルのプレゼンテーションが始まりました。電動アシスト付きのスポーツバイクという、他にほとんど例を見ないカテゴリーだからでしょうか。同社では昨年10月に市販された「YPJ-R」ユーザーの属性を詳しく分析し、購入予定者も含めて広く声を集めています。そのなかには「電動アシストが体力差を埋めてくれるので、夫婦でも同じ走行ペースで楽しめる」といった意見も。これなどまさに同社が想定したユーザーの声といえるでしょう。
ところがヤマハの電動アシスト付き一般自転車「PAS」ユーザーの7割を女性が占めるのに対し、「YPJ-R」は男性が9割以上と聞いてビックリ。電動アシストに懐疑的な男性より、そのありがたみを日々実感している女性のほうがすんなり受け入れるでしょうし、シンボルカラーのトリコロールなど幅広い年齢の女性に支持されるものと思っていましたから、僕の予想は見事に外れました。
ロードバイクを乗りこなす女性をあちこちで見かけるようになり、マーケットの広がりを実感していましたが、それでも男性に比べれば少数派ということなのでしょうか。何人かの女性サイクリストにうかがったところ「今は必要性を感じない」とのことで、やはり現状の女性サイクリストは体力に自信があり、それを遺憾なく発揮したいというアクティブ層に限られているようです。
また、すでにスポーツバイクを持っている男性が2台めとして「YPJ-R」に着目するのに対し、女性の多くは1台めを手に入れるかどうかという段階。やはり1台めには、オーソドックスなものをとなるのでしょう。
■女性サイクリストも乗りやすいクロスバイク
このような結果を踏まえてのことか、同社が第2弾として発表した「YPJ-C」はフラットバー仕様のクロスバイクとなりました。このモデルはリラックスした乗車姿勢となるのをはじめ、タイヤ幅を太く(700×28C)したりサドルやハンドルグリップをソフトな感触のものにしたりすることで、体に伝わる振動を抑えて快適な乗り心地を実現しています。
「YPJ-R」と比べてもワイドなギヤ比(フロント:46/34、リヤ:11~30)ということで、これらは多数を占める非アクティブ層に、「PAS」に代わる一台として選んでもらえるよう意識しています。
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YPJ-Rの50/34から、YPJ-Cは46/34へとアウターギヤは小さくなり、そのままシングル化しても支障はない
ただ、僕もその志は良しとするものの、ならばフロントギヤは1枚にすべきだったと思います。というのも、フロントの変速を使いこなせていない女性サイクリストをしばしば見かけるからです。そのうえ走行モードの切り替えまでするとなったら、上り坂を前にして判断に迷うこと必至。
これが1枚ならフロント用のパーツ(シフトレバー・シフトワイヤ・変速機)が減る分、重量や価格、さらにメンテナンスの面でも有利となるうえ見た目もすっきりします。HIGHモードに切り替えたときの強力なアシスト力さえあれば、あえてフロントの小ギヤまで用意する必要はないはずです。
冒頭で「YPJ-01」がトレンドを先取りした仕様だと述べましたが、フロントのシングル化もMTBから他車種へと徐々に広がっているところです。次なるモデルでは、ぜひ検討していただければと思います。
※以前のコラムに「大容量のリチウムイオン電池を使用しているため、航空機(での輪行)は不可」と記しましたが、ANAやJALで機内に持ち込めるリチウムイオン電池はワット時定格量が160Whまでとなっており、「YPJ-R」や「YPJ-C」に使われるバッテリー(60.48Wh)は基準内となるため航空機での輪行は可能です。この場を借りて訂正します。