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【THE SPIKE】広島カープ、25年ぶりの優勝へ向けて…躍進を遂げた5つの要素

オピニオン コラム
広島カープ 菊池涼介選手 参考画像
  • 広島カープ 菊池涼介選手 参考画像
  • 黒田博樹 参考画像
  • 広島カープ時代の前田健太投手 参考画像
(3)前田健太不在を感じさせない、野村祐輔の存在
2015年シーズンオフ。長年にわたり広島のエースとして、侍ジャパンの柱として君臨した前田健太投手がロサンゼルス・ドジャースへの移籍を決めて海を渡った。

その一方で、シーズンオフに引退か現役続行かの判断が注目されていた黒田博樹投手はチームに残った。しかし、前田の穴はあまりに大きく、「投手全員で前田さんの穴を埋めよう」という呼びかけや雰囲気が開幕前からチーム全体にあった。今年、日米通算200勝を達成するなど一定の存在感を見せている黒田は現在7勝(7敗)。投手陣の精神的主柱であることは誰もが認めるが、黒田の実力と経験を考えると数字としては物足りない。

そこで台頭してきたのが、2011年ドラフト1位の野村祐輔投手だ。先発ローテーションを期待された昨シーズンはわずか5勝と低迷したが、今シーズンはここまで同チームのジョンソン投手と並んでハーラートップの12勝(3敗)を挙げ、広島の快進撃に大きく貢献している。

特筆すべきは.800という勝率。先発マウンドに上がる野村の姿には、エースの風格も漂い始めた。優勝争いが大詰めを迎えるシーズン終盤で、力を発揮できるかが見ものだ。

(4)勝利の方程式の確立
1990年代にリリーフとして活躍した西武のサンフレッチェ(鹿取義隆、潮崎哲也、杉山賢人)や、2000年代に活躍した阪神のJFK(ジェフ・ウィリアムズ、藤川球児、久保田智之)に代表されるように、強いチームには必ずと言っていいほど勝利の方程式が存在する。

今シーズンの広島の投手陣は、後ろの3枚を確立できたことが快進撃を支えている。ヘーゲンス、ジャクソン、中崎翔太の3投手が後ろに控えているため、先発投手は5回または6回までをしっかりと投げ切ることに専念できる。このことが精神的に好作用し、先発投手の安定感につながっている。

(5)伝統の機動力野球、盗塁数の飛躍的増加
昨年の広島のチーム盗塁数はリーグ4位の80個。今シーズンは112試合の時点ですでに96個を記録している。

個々の選手を見ていくと、リードオフマンに定着した田中広輔内野手が23個。昨季の不振から復調したキクマルコンビは、菊池涼介内野手が13個、丸佳浩外野手が17個。さらに今年ブレイクした鈴木誠也外野手は14個。代走での出場が主な赤松真人外野手が10個を記録しており、セ・リーグの盗塁数ベスト10以内に5人の選手がランクインしている。隙あらば、次の塁を果敢に狙っていくチーム全体の意識が得点力の向上につながっている。

広島といえば機動力野球が伝統だ。前回優勝した1991年にも、当時2年連続盗塁王の野村謙二郎をはじめ、2年目でレギュラーに定着した前田智徳のほか、正田耕三、山崎隆造など、走れる選手がオーダーの半数を占めていた。当時の選手の顔ぶれは小技としぶとい打撃が特長的だったことに対して、現在のオーダーには、率に加えて一発も期待できる打者が並ぶ。

鈴木の17本塁打をはじめ、菊池11本、丸14本、田中12本が二桁本塁打を現時点で記録。足が使える上に、一発への警戒が必要となる嫌な打線だ。

勝つための要素がそろっているチームにおいて、一番の不安要素は優勝争いの経験不足か。今シーズンは残すところ30試合。緒方孝市監督は、「一戦一戦という気持ち」と残り試合を見据える。25年ぶりの歓喜に向けた、最後のスパートに注目したい。
《浜田哲男》

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