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プロ野球ドラフト会議と、放映権料ビジネスが矛盾する理由…ゼロから学ぶスポーツビジネス

スポーツ まとめ
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●移籍金ビジネス

「サッカーのシステムは、プロ野球のシステムよりある意味では優れていると僕は思いますが、その結果『移籍金ビジネス』という問題も起こっています」

厳密に言えば移籍金というものはないが、選手がクラブに移籍するときにはお金の動きがあり、これがビジネスになっている。

例として挙げられたのは、長友佑都と香川真司の例だ。

長友がFC東京から移籍する際、FC東京は約2億円を手に入れたとされる。香川の移籍先のドルトムントは最終的に約4200万円をセレッソ大阪に支払ったのち、約15億円で香川をマンチェスターユナイテッドに売り、安く買い戻しているので、ここで相当な儲けを発生させているとみられる。

移籍に伴い多額のお金がやりとりされるようになると、選手の思うとおりにいかない例が出てくる可能性もあると釜崎氏は指摘した。

●日本プロ野球のシステムはアメリカ型、Jリーグのシステムはヨーロッパ型

日本プロ野球のシステムはアメリカ型で、Jリーグのシステムはヨーロッパ型だ、と釜崎氏はまとめる。

「この2つが共存しているのは世界でも稀で、日本だけではないかと言われています。少なくとも、スポーツが盛んな国で両方のタイプがあるのは日本だけではないでしょうか」

アメリカ式のプロ野球。クローズドリーグであり、チームの入れ替えがない。セリーグ、パリーグとも、それぞれチームは固定されており、Jリーグのように1部や2部の入れ替えがない。

Jリーグはヨーロッパ式のオープンリーグ。チームの入れ替えがあり、国際的な統一組織の一部に組み込まれている。

「近年低迷しつつある野球人気を復興させようと、プロ野球は国内チームだけではなく外国チームとも試合を組もうという動きが強くなっていますが、国際的な統一組織がないため、なかなかスムーズにいかない状況があるようです」

プロ野球はフランチャイズビジネスで、地域に独占営業権がある。つまり、同じ地域で勝手にチームを作ることができない。独立リーグはこの中でなんとかしようともがいている状態だ。

サッカーはその点ホームタウン制であり、地域には独占営業権がない。それゆえ、ダービーマッチと呼ばれるような、ひとつの地域に存在するチーム同士の試合が各地域で開催されることがしばしばある。

●野球のドラフト会議、妥当性を裏付ける構造

プロ野球は、シングルエンティティという、「リーグがひとつの企業であり、チームが各部署である」という運営方法を採用している。この論法で、ドラフトは妥当だと主張する。

プロ野球リーグというひとつの企業に入って、そのあと巨人、タイガースなどの部門に配属されるのであるから、という流れである。しかし、放映権料を各チームごとに所持しているというのは矛盾ではないか、といった指摘もある。

「日本はアメリカ型とヨーロッパ型が存在する、世界でも珍しい国である」「放映権収入から入場料収入へ移り変わっている」の2点をしっかりと抑えるよう釜崎氏は告げた。
《大日方航》

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