初めて訪れた2012年のころは瓦礫が散らばり、道路も亀裂ばかりで補修も追いつかないほどだった。2013年になると岩手県陸前高田市などで大がかりな整備が本格化し、土砂を積み込んだダンプの往来で路面は土色に。巨大なかさ上げの台地が出現するものの町に生活感はなかなか戻らない。
今回の訪問中に熊本県を中心とする九州地方で最大震度7の地震が発生した。宮城県仙台市で東日本大震災を体験した男性は、遠く離れた九州でいまその恐怖を感じている人たちの心境を察していた。
「津波に襲われなかったから、それだけが救い。まだ落ち着いて過ごせない日々が続くが、いつかは復興に向けて歩んでいく時が来るので、頑張ってほしい」
三陸海岸でたびたび開催されるサイクリングイベントでは、仮設住宅に住んでいる人たちが沿道で全国から集まった参加者を歓迎してくれる。「私たちのことを応援してくださってありがとうございます。今日は頑張ってください」と声をかけてくれることも。
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スポーツイベントの開催を東北の人たちは楽しみにしている
「応援のために参加したのに、逆に応援いただいて胸が熱くなりました」と、2015年のツール・ド・東北に岩手県から参加した23歳の女性がコメントしている。
瀬戸内海をつなぐ「しまなみ海道」、北海道の雄大な景色を望む一本道など日本には人気のあるサイクリングコースがいくつかあるが、ここ三陸海岸もサイクリングコースとしておすすめ。民宿なら1泊2食で7000円、露天風呂つきのリゾートホテルでも1泊2食の格安プランを利用すれば1人1万円ほど。
今年はサクラの開花も早く、5月の東北地方ははやくもサイクリングに絶好のシーズンだ。