茨城県常陸大宮市にある御前山(標高156m)は、こんもりとした小さな山。御前山のすぐ脇を流れるのは、カヌーが人気の清流の那珂川だ。那珂川をまたいで道路をつなぐ赤い橋が那珂川大橋になる。
●関東の嵐山
山・川・橋。これらが三位一体となった風景が、京都嵐山に似ていることから関東の嵐山、もしくは常陸嵐山と呼ばれている。この風光明媚な景色が拝めるのは、御前山の自然が長年にわたって守られてきたからだ。
江戸時代に、御前山は御留山(おとめやま)として樹木の伐採を禁じられていた。そのため付近の樹木は昔ながらの原生林になっている。樹木が豊かな環境であれば、そこに住み着く生物も豊かになる。
カワセミが川の流域を飛び交う姿や、那珂川を遡上するサケの姿、全国的にも珍しいイトトンボの姿など、他ではあまり見られない光景を、自然と生物が作り出している。これらをゆっくり眺めながら歩くのは、ある意味贅沢なものだ。
●ハイキングコースをのんびり歩く
御前山ではハイキングコースがきちんと整備されているのも嬉しい。道の駅近くのハイキングコース入口から、御前山、富士山(ふじやま、183m)と歩き、青少年旅行村へ。
そこから田畑の間を通る道路に抜けて、登山道入口まで歩いて戻る。4時間ほどのコースになり、そこそこの充足感が得られる。危険な場所は一切なく、里山の景色を眺めながらのんびりと歩けるので、初心者でも安心のコースだ。
さらに那珂川大橋の近郊には、地域の食材が手に入る道の駅かつら、ロッジやバンガローがある御前山青少年旅行村、カヌーガイドのストームフィールドガイドなどの観光的要素がそろっている。ちょっと足を延ばせば温泉もある。
自然・食・遊び。これらが三位一体となった贅沢なハイキングが楽しめるのは、関東の嵐山だからこそ。雪・月・花、心・技・体、ハク・ハツ・チュン(麻雀)…。
3つがセットになっていると、とてもお得で素敵な感じがしてしまうのは、筆者だけではないはずだ。
《久米成佳》
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