南オーストラリア州・アデレードで行われたツアー・ダウンアンダーの閉幕後、一部の選手はビクトリア州ジーロングへと移動した。カデルエバンス・グレートオーシャンロードレースに参加するためだ。
会場となるジーロングは、メルボルンから約80km離れた海沿いの静かな街。今年で2回目となるレースは、エバンスがプロサイクリストのスコット・サンダーランドとともにデザインした174kmで行われた(女子のレースは113km)。
このレースは国際自転車競技連合(UCI)から1.HCカテゴリーの認定を受け、ワールドツアーへの昇格も近いと言われている。
●オーストラリアの元プロサイクリスト
エバンスと言えば、ツール・ド・フランスで総合優勝を成し遂げた唯一のオーストラリア人だ。1年前のツアー・ダウンアンダーにBMCレーシングチームから参戦して引退。ホームタウンとなっているこの場所では、エバンスの姿を一目見ようと多くの観客が押し寄せた。
その彼の名前がついたグレートオーシャンロードレース。現在は男女ともにそれぞれ一日だけのワンデーレースだが、ワールドツアーで活躍しているトッププロの参加も目立つ。
世界では多くの自転車ロードレースが行われているが、選手の名前が冠のレースは少ない。オーストラリア国内ではそれだけエバンスの存在が大きいのだ。今年は、スカイ、BMC、カチューシャなど22チームが参加した。
●イベントビレッジが設置された
ツアー・ダウンアンダーでも盛り上がるコース途中のイベントビレッジ。今回のレースでは、スタート&ゴール地点の他に、エバンスのホームタウンであるバーウォン・ヘッズの街にもお目見え。地元の人々が駆け付けた。
また山岳賞ポイントKOM(キング・オブ・マウンテン)となったモントピリア公園では、坂を上る選手を一目見ようとたくさんの人々が集まった。イベント慣れしていないこの街では迷子の姿もあり、警官が母親を探す姿もあった。また地元チームを応援しようとオーストラリアの国旗も多いのが印象的だ。
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コースはジーロング市内ヨットハーバーからスタートする。バーウォン・ヘッドを通り、しばらく海沿いの道路を走る。サーフィンでも有名なベルズ・ビーチまでの約60kmは、内陸と湾岸を繰り返しながら走るコースだ。
レースの日は波が高く、サーファーたちの練習日となっていた。サーフィンとサイクリングのマッチングは、このジーロングならではの風景のようだ。ビーチが終わり内陸に入り最初のKOMを抜けると、内陸の平坦な道が続く。100km以降に2度目のKOMは、住宅街の中とあって多くの人が観戦していた。
優勝は、スカイのピーター・ケノーだった。ビクトリア州ではUCIワールドツアーに昇格するようサポートしたいとのことで、今後のカデルエバンス・グレートオーシャンロードレースの成長に注目したい。