2016年からはイタリア籍のプロコンチネンタルチーム、NIPPO・ヴィーニファンティーニで活動する。ジロ・デ・イタリア総合優勝経験のあるダミアーノ・クネゴを中心としたイタリア人11名、日本人4名、スロベニア人・ルーマニア人各1名で構成されたチームだ。
チームを率いる大門宏監督には高校卒業時と大学卒業時の2回、プロ入りの話をもらっていた。全日本タイトル獲得後の昨年8月、3回目のオファーがあった。
より高見を目指し、移籍を考えた時に「日本人がいないチームに行きたかった。頼りたくなかった」という気持ちもあった。だが大門監督の熱意に加え、「ヨーロッパで走った経験がないから勉強になる」と新天地をNIPPO・ヴィーニファンティーニに決めた。チームからは「まずトラックに集中して欲しい」と言われた。チームタイムトライアルでの牽引役も期待されている。
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2015ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムを走る窪木
チームメートには3人の日本人(山本元喜、石橋学、小石祐馬)がいるが大半はイタリア人だ。しかしマトリックス・パワータグ時代に、イタリア語の話せるポーランド人のマリウス・ヴィズィアックが仲間だったこともあり、窪木はコミュニケーションに「まったく不安はない」という。本場ヨーロッパで活躍する選手からは多くのことを吸収しようとしている。
「走りのテクニックや乗り方、どういう部分に筋肉が付いているか。マナーや習慣性も勉強したいし、ありとあらゆることを学びたいですね。特に同じ身長、体格の選手ならなおさらこういう乗り方をしているだとか。そういう部分をまだまだ見つめられると思っているので、そこから自分の能力アップをあげていきたいです」
16歳から始めた自転車競技。その頃の窪木が、現在の自分を知ったら「ビックリするでしょうね」と笑う。
「高校の同級生にもビックリされるだろうし、まさか僕が社会人としても、大学を卒業しても自転車を続けている、ここまで続けているのが自分でもビックリ。周りに僕より強い人がいっぱいいたのに、その中で僕が生き残ってきた。みんなのぶんも頑張らなくちゃいけないなと思い始めています」
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窪木一茂
トラックとロードレースで確実に結果を残してきた。自身が結果を残すことで、後輩たちに見せたいことがある。
「26歳で遅咲きになると思うのですが、自分がトラックレースで歩んできた結果と、ロードレースの結果を持っていることを自信にして、高校生や大学生が目指したいと思えるような選手になりたいです。日本では高校、大学でトラックが盛んですが、そこで終わってしまう。それを活かしてロードに転向できるんだと、新たな選手としての可能性を見せていきたい」
NIPPOがスポンサードをする日本ナショナルチームのメンバーとして、昨年末からオーストラリアに遠征。2016年元旦からクリテリウムのステージレースMitchelton Bay Cycling Classicに参加した。初日6位、2日目8位、3日目6位、4日目17位。総合成績は6位でフィニッシュし、新年の出足は好調だ。
全日本選手権ロードを制したことで、やっとプロ選手として走っていく自信ができた。今年はまずトラックでリオ五輪出場を目標としている。3月にはトラック世界選手権が控えている。
自分自身を「まだ完成していない」と言う。
「これから色んな強い人と走って、吸収して、それで強くなりたい」
新しい舞台、新しい仲間とともに、窪木一茂はまたひとつ上のステージを目指していく。
2016年 NIPPO Vini Fantini 所属選手Damiano Cunego/ダミアーノ・クネゴ窪木一茂石橋学山本元喜小石祐馬Giacomo Berlato/ジャコーモ・ベルラートAlessandro...
Posted by NIPPO Racing Project on 2015年12月31日