東京2020旧エンブレム問題、1次審査で不正発覚…調査結果一問一答 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

東京2020旧エンブレム問題、1次審査で不正発覚…調査結果一問一答

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東京2020、旧エンブレム問題…1次審査で不正
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東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織員会は12月18日、都内で第9回の理事会を開催。その内容を報告したのち、旧エンブレム問題についての調査報告を行った。

調査では、外部有識者チームを設置した。チームのメンバーは、鵜川正樹氏(公認会計士、青山学院大学特任教授)、森本哲也氏(弁護士、元東京地検検事)、山本浩氏(法政大学スポーツ健康学部教授、スポーツ評論家)、和田衞氏(弁護士、元東京地検検事)の4氏。

今回の発表では、旧エンブレムの選考過程の公募まえから1次審査終了までにかけて、不正な審査が行われたと判断したことを明らかにした。

具体的には、旧エンブレム公募の発表まえに、特定のデザイナー8名に組織委員会から参加要請文書を送付。1次審査において選考側にその特定デザイナーと作品を結びつけて把握している者が存在し、1次審査通過が作為的に行われたという。

この選定について主に関わったのは、大会エンブレム選定の責任者だった組織委員会マーケティング局長の槙英俊氏、組織委員会クリエイティブ・ディレクター高崎卓馬氏と永井一正審査委員代表。

参加要請を受けた8名のデザイナーの作品については、1次審査を通過させるべく投票に操作が行われた。8名のうち2名については1次審査の段階で1票しか得票がない状況だった。その旨が当該関係者で共有され、投票が操作された結果、8名全員が2次審査に進んだという。審査を記録したDVDによりその状況が確認された。こうした作為的な選考の結果、佐野研二郎氏の作品が選ばれることになったが、結果に対しては出来レースであった事実にはあたらないとした。

調査を行った和田衞氏は「日本を代表するデザインにしたいという結果に対する思いにより、その過程に対するコンプライアンス意識が薄弱になった」と評した。

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Q&A

Q:不正投票がなければ得票のない作品は1次審査で落ちていたのか。不正操作があった2作品は最終的にどうなったのか。聞き取り調査について他の審査員はどういう反応をしたのか。

A和田氏:不正投票がなければ2作品は1次審査を通過できなかったと認められます。またその2作品は2次審査で落選しております。他の審査員は、そうした事実を知らないので言及はありません。

Q:8名の事前要請した方の作品と、名前が選考時点で一致して把握していたのは誰か。

A和田氏:永井さんにつきましてはご存知なかったと認定しています。それ以外の方は把握しています。佐野さんの作品も知っていたということです。

Q:結果として処分となったのは。

A佐藤氏:処分をおこなったのは、大会エンブレム選定の責任者だった組織委員会マーケティング局長の槙英俊氏、組織委員会クリエイティブ・ディレクター高崎卓馬氏の2名とご理解いただきたいです。

Q:1次審査で2作品に不正投票がなければ、2次審査の票が散らばって佐野さんの作品が選ばれないという可能性もあったのでは。

A和田氏:佐野さんの作品は1次から2次、最終まで一番多数の票を得ていました。2次で通る方が少なくなっていたとしましても、一番多くの票を得ていたということです。

Q:調査の対象27人は審査員全員か。組織委員幹部は含まれているのか。

A和田氏:審査員のうち2名には協力が得られませんでした。組織委員会はマーケテイング局などの方から伺いました。

Q:発表内容にお名前がある審査を操作した3名はどのような反応か。

A和田氏:高崎さん、槙さんは認めています。永井さんは1次審査は事前要請8名の作品は、全員無条件で通るべきと確信しておりました。2次審査につきまして慎重に行われるべきと、マーケティング局に申していまして、その結果が実現したということです。

Q:1次審査の投票操作時、どのような言葉で操作されたのか。

A和田氏:わかりませんでしたが、DVDの動きからは、1時審査に通りそうにないということで2作品のところへ永井さんが案内されたという状況でした。

Q:永井さん以外は誰がどの作品か、知っていたと。高崎さんは審査委員だが。

A和田氏:高崎さんについてはご指摘の通りです。審査委員のなかで今のことを承知していたのは高崎さんだけということです。

Q:高崎さんのみが8人について知っていたということだが、投票行動に影響したことは。

A和田氏:2次審査はそもそも、永井審査員代表のほうへ高崎さん、槙さんが(特定作品を)2次審査も通さないといけない、という話をしたことはございませんので、1次審査のような不正が行われたことがないと認定しています。

Q:なぜ、旧エンブレムは国民に受けいれられなかったと考えてるか。

A和田氏:担当しましたマーケティング局などにコンプライアンス意識が薄弱であった、結果が良ければそれでいいだろうと、手続き自体をしっかり用意しなければいけないという認識を、次は持って選定をしていただきたいと。

Q:高崎さんは最終協議で司会としてリードをしていたが、これはかなりのバイアスがかかるのではないか。

A和田氏:たしかに司会をされていましたが、最終の協議は2時間、議論をしておりました。真剣な議論の結果一番多く票を集めていた佐野さんの作品で、最終的には一致をみたという結果でした。

Q:2次審査では佐野さんの作品が3票以上、2位の作品と差をつけていたということだが、最終はどのような得票だったのか。

A和田氏:最終は全員で8票、佐野さんが4票、次点が2票、他の2作品に1票という結果でした。

Q:コンペは最初にどんな情報がもたらされたかということが問題では。出来レースではない根拠は。

A和田氏:参加要請文書については、デザイナー各氏にただ送られてきたというだけで、その後のエントリーや書類は通常応募者の方と異ならないということでした。

Q:事前送付のデザイナー8名は全員聞き取りをされたのか。

A和田氏:参加要請対象者には全員ヒアリングをしました。

Q:参加要請の対象者のうち参加要請がなければ参加しなかったとう方は。

A和田氏:大半はそういう文書がなくても参加したということです。また決めておられなかったという方もいたかもしれませんが。

Q:8人の人たちなのですが、審査員との私的なつながりが深いなど、関係は。

A和田氏:同じデザイン界ですから、特にグラフィックデザインの方々にはつながりがあったのでは、と思います。審査員代表は今回の審査が日本のグラフィックデザインの最高の実力者によって、競われてほしいという思いがありましたので、実力を有している方のお名前を挙げられたということです。
《編集部》

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