侍ジャパン、プレミア12の教訓を糧に2017年WBCへ | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

侍ジャパン、プレミア12の教訓を糧に2017年WBCへ

スポーツ 短信
大谷翔平
  • 大谷翔平
  • 則本昂大のマウンドに集まる
  • 山田哲人(2015年11月21日)(c)Getty Images
  • 中田翔(2015年11月21日)(c)Getty Images
  • 中田翔
侍ジャパンは11月21日、世界野球WBSCプレミア12の3位決定戦でメキシコに勝利し、銅メダルで今大会を終えた。最後となった戦いで意地を見せたが、国際大会における課題が改めて浮き彫りになった。

準決勝の韓国戦でまさかの敗退を喫した。9回表を迎えた時点で3-0とリード。誰もが勝利を信じて疑わなかった矢先に悲劇は訪れた。国際大会の怖さをまざまざと見せつけられたと言えばそれまでだが、野球大国日本にあって、目の肥えた多くのファンが同試合の采配にさまざまな声を寄せていた。采配に関する疑問は後を絶たず、一方で「こんなショックを受けたのは、ドーハの悲劇以来だ」という声まで聞かれた。その反響の多さからも、いかに今大会での侍ジャパンの戦いぶりに注目が集まっていたかがうかがえる。

1次ラウンドを劇的な勝利の連続で全勝。舞台を本拠地の東京ドームに移し、満員の大観衆の前での準決勝。それも韓国戦。さらには、大谷翔平投手(日本ハム)の歴史に残るような投球もありながらの敗北となったため、ショックは小さくない。

2012年4月に常設化された侍ジャパン。その後、監督の常設化も検討され、2013年10月には当時41歳だった小久保裕紀氏が、侍ジャパンの新監督として大抜擢された。目標は、第3回ワールド・ベースボール・クラシックで逃した王者の座の奪還。2017年に開催される第4回ワールド・ベースボール・クラシックで世界一に返り咲くことだ。今回開催されたプレミア12でも当然、優勝は至上命題だった。

過去のワールド・ベースボール・クラシックでは、機動力やバント、ヒットエンドランなど小技を重視して1点を取りにいく「スモール・ベースボール」で世界を席巻した。今大会では果たしてどうだったか。確かに各球団のクリーンアップクラスの選手がオーダーに並び、相手に脅威を与える打線といえばそうかもしれないし、実際につながりが見られる場面も多々あった。

例えば準決勝の韓国戦の7回裏、無死1、2塁の好機に4、5、6番が倒れて無得点に終わった場面があったが、1点を奪うことに徹するのであれば、バント成功率の高い野手を代打に送る采配も必要だったのではないか。この回が無得点に終わり、尚且つ8回表に大谷がマウンドを降りたことで、韓国に流れが傾きかけたことは否めない。

また、今大会では山口哲也投手(巨人)のような、勝ちゲームでの中継ぎを専門とする投手が一人も招集されていなかった。終盤の8回、9回を任せる投手起用に関しても、各球団のリリーフエースを揃えながらも最後まで固定することができなかった。また、あまり表だって問題視されていないが、二塁手に関しては山田哲人内野手しか招集されていなかった。

今季トリプルスリーを達成し、侍ジャパンの主軸として期待されていた柳田悠岐外野手(ソフトバンク)が辞退を表明した際、招集されたのは、手薄な二塁手や外野手ではなく、遊撃手の今宮健太内野手(ソフトバンク)だった。準決勝・韓国戦の9回の場面の判断や采配がどうしてもクローズアップされるが、メンバー選考や戦術の観点で、危険因子は多く潜んでいたように思う。

とはいえ、今大会に出場している侍ジャパンでは、若い選手が多くの貴重な経験を積んだ。21歳の大谷をはじめ、22歳の武田翔太投手(ソフトバンク)、20歳の松井 裕樹投手(楽天)、今大会でクリーンアップを務めた山田哲人内野手(ヤクルト)、筒香嘉智外野手(DeNA)にいたっても、まだ23歳だ。第4回ワールド・ベースボール・クラシックは2017年の開催だが、シーズン前の3月開催となるため、1年4か月後には開催される。時間があるようでなく、次の戦いは既に迫っている。また、常設化されている侍ジャパンでは、シーズン前の3月とシーズン後の11月に強化試合が組まれる予定となっている。

2016年シーズンは、第4回ワールド・ベースボール・クラシックのメンバー入りをかけて、各球団の選手は意気込むだろう。プレミア12の教訓を糧に2017年WBCへ。今後の侍ジャパンの動向と進化に注目していきたい。
《浜田哲男》

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