これ以上負けられない崖っぷちの状況だったアーセナル。今季無敗を誇るバイエルン・ミュンヘンを2-0で見事打ち破り、アーセナル・サポーターの盛り上がりは昨シーズンのFAカップ優勝さながらの大盛り上がりとなった。
前回のコラムに書いたが、この試合が始まる前からバイエルン・ミュンヘンのサポーターに注目が集まっていた。SNS上の発言が発端で始まった「アーセナル戦のチケット代が高すぎる」という抗議活動が原因だ。
本当に抗議活動をするのかと半信半疑で試合観戦に向かったが、その宣言通りの光景に思わず息を飲んだ。
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ボイコットの横断幕が掲げられたエミレーツ・スタジアム
遠路はるばる来た人もいるであろうアウェイ側バイエルン・ミュンヘンのスタンドにはがらんと空席が並び、「チケットは64ポンド(約1万2000円)。ファンなしではフットボールに何の価値もない」という横断幕が掲げられていた。宣言通り、試合開始から5分間のボイコットが行われていた。
スタジアムにぽっかりと空いた空席は、試合開始とともに漂う熱気と混ざりあい、まさに異様な光景であった。ボイコット終了後に一斉に席へと流れ込むバイエルン・ミュンヘン・サポーターに向け、アーセナル・サポーターから賞賛のスタンディンオベーションが送られた。アーセナルのサポーターにとっても、応援するチームの高額チケットには不満が募るのだろう。
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アーセナルの本拠地エミレーツ・スタジアム
今回の異例とも言えるボイコット劇でも、アーセナルがチケット代の値段を下げるきっかけとなることは無いだろう。しかし、少なからずアーセナル関係者の心に届き、毎シーズンチケット代の右肩上がりの上昇を食い止めることを期待したい。
もしくは高額のチケット代が有意義に使われていると感じられる、選手補強や設備投資、ファンへの還元などに使われることを望むのは、私だけではないはずだ。