「片山晋呉インビテーショナルネスレ日本マッチプレー選手権レクサス杯」(9月、北海道・恵庭)で、片山晋呉は“流儀”や“振る舞い”について持論を展開。大会ホストプロをつかさどる彼の大会前コメントには、随所に自身の「あたたかさ」がにじみ出ていた。
片山は、同大会に招待した選手について、「もしかしたら(出場選手のなかにも)来たくないって思っている人がいるかも…」と前置きしながら、こう語った。
「だから、僕はひとりひとりに手紙を書いて、お礼を伝えました。それが疲れた…。筆ペンで、去年も『出てくれてありがとう』と書きました。それをされたらうれしいだろうなと思うことをやりたいし、あまった時間や飛行機に乗っている時間で手紙を書いて、選手に渡して。されてうれしいことをやりたい。僕はそう思ってやってます」
直筆の手紙にこだわる理由について、片山は「うーん。いろいろあったけど、やっぱり手紙とかはうれしいよね。『わざわざ日本から来てくれてありがとう』ってヨーロッパに行ったときに手紙をもらいました。手紙は好きですね。あらためさせられるというか、いい気分になれる」と続ける。その手紙を書く上で必要になってくる便せんなどを買いに、文房具店にも足しげく通うという。
「だから文房具屋とか行くの好きなんですよ。ヨドバシカメラの文房具屋とかいいね。あそこは便せんとかにもこだわっていて、いい紙が置いてある。書くときは筆ペンで。下手でもいいから丁寧に。それができないときは銀座の鳩居堂に持っていって、日本で一番字がうまい人に書いてもらっています。そういうのが好きなんですよね。メールもLINEも大事だけど、自分の気持ちを下手でもいいから書くのがいい。そのおかげか選手の漢字を全部覚えましたよ」
「僕は、主催者側の立場もあるけど、選手としての考え方のほうが強い。世界中の試合に出場してきたし、選手がうれしいと思ったことを日本でもやりたいと思うから。それをネスレの高岡社長が理解を示してくれている。選手を甘やかすという意味ではなく、『あたたかく』やりたいです」
優勝賞金7000万円をかけ、片山のほか、石川遼、今平周吾、堀川未来夢、山下和宏など、32人のプロたちが1対1で闘いを繰り広げた同大会。トーナメント方式による18ホールマッチプレーの決勝は、ホストプロの片山と武藤俊憲の対戦となり、武藤が3&1で優勝した。
決勝で負けた大会ホストプロは、フェアーウェイ以外の場でも彼らしい“流儀”があった。たとえばパーティ会場では……。
「そうですね。ドレスを着て、わーってやるんじゃなくて、男は心で動かさないと」
《大野雅人》
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