■大学野球、シーズン突入
夏の甲子園を戦った選手たちの多くは、これからは新しい進路へ向けての準備に取り掛かっていく。
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直接プロ野球を目指す選手は、「プロ志望届」を提出して、秋のプロ野球選手選択会議(通称ドラフト会議)の指名を待つことになる。また、一部には高校から社会人野球の門を叩く選手もいるだろうが、社会人野球は高校卒業選手の採用枠は非常に少ないのが現実だ。そんなこともあって、さらに本格的に野球を続けたいという選手の多くは大学野球へ進むこととなる。
9月の声とともにその、大学野球のシーズンにも突入した。すでに、いくつかの連盟ではリーグ戦に突入している。
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上武大・廣戸君(3年・東海大相模)
■大学野球の勢力図、近年大きく変化…5大連盟と伍する実力の地方連盟
6月に開催された大学野球日本一を競う全日本大学野球選手権では、東京六大学の早稲田大が優勝をした。東京六大学連盟の学校としては3年ぶりの優勝だった。かつては東京六大学連盟と東都大学連盟の2つの老舗リーグが突出していた感があったが、一昨年は関甲新学生連盟の上武大が優勝し、昨年は首都大学連盟の東海大が神奈川大学連盟の神奈川大を下して4度目の優勝を果たしている。決勝戦のカードで東京六大学と東都大学のどちらの連盟もいないというのは、1991年の第40回大会以来のことであった。
近年は大学野球リーグそのものの勢力構図がずいぶん変化してきたともいえる。
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國學院大・土倉君(4年・遊学館)
そういう目で見ると、大学野球そのものの見方も少し変わってくるのではないだろうか。関東の老舗リーグとしては、東京六大学と東都大学、それを追う存在の首都大学野球連盟があり、これに関西学生連盟六大学リーグ戦と関西六大学連盟が一応、大学野球を引っ張る5大連盟となる。
■150キロ投手続々の東京新大学連盟、仙台・九州の連盟も
しかし、このところはそれに続く地方連盟の躍進が著しく、それらの動向も目が離せなくなってきている。というより、創価大の田中正義君(3年・創価高)や今年、早稲田大と決勝を争った流通経済大の生田目翼君(3年・水戸工)が150キロ超えして話題となっている東京新大学連盟はじめ、東北福祉大の独走を仙台大が止めて対決ムードの高まってきている仙台六大学連盟や、西南学院大と福岡大の対抗戦が盛り上がる九州六大学連盟なども注目だ。
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流経大・生田目君(3年・水戸工)
こうして、大学野球の勢力構図も地方分散化傾向がみられることで、全国の大学野球リーグが、それぞれ興味深くなってきた。また、各学校も、夏休みの期間には強化合宿を組んだり、積極的に遠征試合を組んで、チームとしても幅広い経験を積んでいる。
愛知大学連盟二部で、創立15年になる愛知東邦大は、中央大出身の横道政男監督が就任して3年目。一部昇格を目指しているが、この夏は関東遠征で横道監督の母校中央大はもちろんのこと、高校野球の強豪でもある東邦高の縁で、法政大や東海大といった“格上”ともいわれるところとも積極的に試合を組んだ。
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7回表まで、法政大にリードしていたが
「今回の遠征は、思っていた以上の収穫がありました」と、秋季リーグ戦へ向けて、さらに意識を高めていた。
こうして、夏を経てきて、各校が鎬をけずり合う大学野球は基本的にはリーグ戦で戦われる。トーナメントの高校野球とはまた違った面白さも味わえるであろう。