【山口和幸の茶輪記】コルシカ。自転車にとっては最悪だが、飛行機乗りなら悪くないかも 2ページ目 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】コルシカ。自転車にとっては最悪だが、飛行機乗りなら悪くないかも

オピニオン コラム
レッドブル・エアレース
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  • 第100回ツール・ド・フランス
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ボクが紺碧の地中海に浮かぶコルシカ島を訪れたのは、第100回ツール・ド・フランスのときだ。フランスの英雄ナポレオンが生まれたこの島が栄光の開幕地に選ばれたのである。第1ステージのコースを外れて最南端にあるボニファシオの断崖絶壁に立ったときは、すぐ近くにイタリア領のサルディニア島が見えて、「この世の絶景を手にしたぞー」と叫びたくなり、こうして人間は征服欲がわくのだなと実感した。

第100回ツール・ド・フランス


■ツール・ド・フランス第100回大会でトラブル発生

ところが、コルシカはなにかが起こる。記念すべきツール・ド・フランス第100回大会の初日もトラブルが発生した。オリカ・グリーンエッジの大型バスがゴール地点のバナーに引っかかって立ち往生してしまったのだ。ツール・ド・フランスがコルシカ島で開催されるのは初めて。路面が荒れ気味で、曲がりくねった狭い道が特徴だ。そのため各チームはトラブルの発生をとても恐れていたというのに。

バスがゴールライン上で立ち往生したしまったとき、すでに大集団は残り10kmに迫っていた。主催者は一時、「残り3km地点にゴールを移す」と発表。ところがなんとかバスが待避できたのでそれを撤回。その混乱の責任を取ってトップフィニッシュした選手の区間勝利とマイヨジョーヌを認定しつつ、総合成績を争うレースとしてはノーカウントで全選手は同タイムとなった。

ボニファシオ

とにかく、100年のレース運営をこなすツール・ド・フランスでもコルシカ島独特の地形は困難を極めた。本土で大型バスは高速道路などの迂回路を使ってゴールに先回りする。ところがコルシカ島では迂回路は取れず、動きの緩慢な大型車両も選手に先行してレースコースを走るしかなかったのである。

その点、地中海に浮かぶ島はパイロットにとってはパラダイスだ。この島に生まれたイワノフが空を飛ぶ夢を描いたのもうなずける。青い空に軌跡を描く。「自転車を手に入れたら隣町に行ってみよう」と子供のころの少年が思うように、飛行機が上空を優雅に飛んでいると胸が高鳴る。ツール・ド・フランスもレッドブル・エアレースもそんな冒険心を呼び戻してくれるお祭りなのだ。
《山口和幸》

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