ちょこっとした山だからこそ、ちょこっとした楽しみ方がある。
例えば、今回登った浅間山。標高344.6mのこの山は、ちょこっとしたハイキングにぴったりの山だ。
朝起きて、ごはんを食べて、歯を磨いて、まだ眠いからとベッドに潜り込んで。それから、やっぱり休みの日だから何かしらしたいと思って。じゃあ、山にでも登ろうかと思って、山の下調べをして。そうして出発して、ちょこっと道に迷って。三石森林公園内を散策して、直登コースで登って、頂上から筑波山を眺めて、一服して。それで下山して、ハイキングにかかった時間は2時間弱。
山に登って下りてきてもまだ午前中であると、何だか得した気分になる。ちょこっとしたハイキングだから、苦労も感動も「ちょこっと」だ。
登り始めの三石森林公園はまさに「ちょこっと」した公園である。遊歩道も、遊具も、景観も、ちょこっとしたものばかりで、どれもちょこっとだけいい感じである。
公園を抜けた先にある直登コースは、けっこうな急な登りだけれど、距離はちょこっとだから、疲れもちょこっと。(でも、登っている時はけっこうきつい) なだらかな道ばかりでは得られない、ちょこっとした充実感。
山では何人かの人にも会った。トレランのトレーニングで山道をせっせと走っている人、二人。MTBで走ってきたのであろう人々、数人。
「こんにちは」と声をかけ、「こんにちは」と返されるだけのちょこっとした関係であるが、それでも山で人に出会うと何かを共有できた気分になれる。これも、やっぱりちょこっとだけれど、幸せな気分になれる。
【次ページ 継続につながる「ちょこっと」志向】
《久米成佳》
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