Apple WatchはiPhoneとのセットで使うことを前提としたウェアラブル端末だ。iPhone 6/6Plus、5s/5c/5で利用ができる。最新のプラットフォームである「iOS 8.2」にプリセットされているマネージメントアプリ「Apple Watch」から機器や各種機能の設定を行う。iPhoneとApple Watchのペアリングは1対1で行う。通常30mの範囲内まではBluetoothによるペアリングが有効となるが、それぞれの機器を同一のネットワーク環境に繋げている場合は、30mの範囲を超えた際に自動でWi-Fi接続に切り替わり、ペアリングが持続される。iPhone 6シリーズからはNFCの機能が搭載されているが、Apple WatchとNFCを使ってワンタッチでペアリングが行えるかについては本日のイベント時点では明らかにされていない。
Apple Watchを付けているユーザーとのコミュニケーション機能として設けられた「Digital Touch」では、ドローイングアプリで描いたスケッチを送ったり、2本の指で画面を長押しすると心拍センサーがユーザーの心拍を読み取って、任意の相手に知らせるユニークな楽しみ方ができる。本機能はApple WatchどうしをBluetoothやWi-Fiでペアリングして使うものではなく、間に必ずiPhoneを介在させて、Apple Watchでコミュニケーションしたい相手をコンタクトリストから選んで、スマートフォンのセルラー通信、またはインターネットを通じて飛ばす使い方になる。相手がApple Watchを身に着けていれば遠隔地にいてもコミュニケーションができるところも特徴だ。
■音楽再生やワークアウトなど多彩なアプリ連携を実現
Apple Watchで利用できる機能は時計やアラームはもちろん、内蔵アプリは電話やメール、メッセージの送受信のほか、マップ、ミュージック、Passbookのほか、時計をiPhoneのカメラのファインダーにできるリモートカメラ、およびフィットネス系のアクティビティ、ワークアウトなどになる。音楽検索アプリ「Shazam」などサードパーティーによるアプリの追加もできるようになる。
Apple Watchを身に着けてみた。3つのラインナップそれぞれに異なっているケースのマテリアルによる感触の違いは特にない。背面には心拍センサーが搭載されているが、センサー周囲に凹凸はなくフラットなデザインなので、手首にゴリゴリとセンサーが触れるような違和感はまったくなく、本体がとても軽量で、フレームもラウンド処理がされているので、総合的な装着感はとても心地良かった。ふつうのアナログ時計を身に着けている感覚と大きく変わらないと思う。
Apple Watch Sportのデフォルト仕様である「スポーツバンド」はシリコン製で、ホールにピンを止めて長さを調節するオーソドックスな装着方式だが、金属製の「ミラネーゼループ」は任意の長さがマグネットで調節できて、穴やピンも無いので身に着けた時のルックスもスマートにキープできるのが良い。
Apple Watchが発表された当初にはバッテリーまわりの仕様が明らかにされていなかったことから、その“スタミナ”がいかほどなのかに注目が集まった。正式に発表されたスペックは最大18時間。本体背面にマグネット方式の約2.5時間でフル充電、約1.5時間で80%までチャージされる。アップルのMagSafeテクノロジーと電磁誘導充電を組み合わせることで、露出した接点をもたず、コネクタを時計の背面に近づけるだけでマグネットが充電部分を接続する仕組みだ。本日のタッチ&トライイベントにこの充電機が用意されていなかったので、実際のサイズ感や使い勝手を確かめることはできなかった。
Apple Watchの「18時間」というバッテリー性能は、朝から職場に出かけて、一日仕事をして帰宅した頃に充電すれば大丈夫という計算により導かれたものなのかもしれないが、寝る前にスマートウォッチを充電し忘れることも当然起こり得るだろう。そうなった場合、職場や外出先で充電することになるが、そのデバイス固有の充電機しか使えない場合、microUSBケーブル以外に持ち歩くアイテムが増えてしまい、万一自宅に置き忘れて出かけてしまった場合は、外出先で時計がシャットダウンして、不便を強いられることになる。MagSafeテクノロジーはMacBookシリーズを使っているユーザーであれば、おそらく多くの方々がその画期的な発想と使い勝手の良さを実感されていると思うが、スマートウォッチのユーザーにも同じ快適さを提供できるものであるかは疑問だ。これはある程度の期間使ってみて判断するしかなさそうに思う。