【THE ATHLETE】錦織圭だけじゃない、全豪オープンで決勝に残った2人の日本人 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE ATHLETE】錦織圭だけじゃない、全豪オープンで決勝に残った2人の日本人

オピニオン コラム
国枝慎吾(2015年1月29日)(c)Getty Images
  • 国枝慎吾(2015年1月29日)(c)Getty Images
  • 上地結衣(左)(2015年1月30日)(c)Getty Images
テニスの全豪オープンも大詰め。いよいよ最終日を迎えようとしている。

日本では男子シングルスに出場した錦織圭に注目が集まっていたが、もちろん他にも日本人選手は出場している。その中には最終日まで勝ち残った選手もいた。

車いすテニスの国枝慎吾と上地結衣だ。それぞれ男子と女子の世界ランク1位で全豪に臨んだ2人は、チャンピオンとして堂々と決勝進出を決めた。

◆錦織圭だけではない日本人選手

全豪オープンテニス車いすの部は1月28日から31日まで開催される。参加選手は世界ランク1位から7位までの選手に、ワイルドカード1名を加えた合計8名。国枝と上地は文句なしの出場だ。

特に国枝は全豪オープン過去7度出場して7度優勝。今年は8度目の優勝が期待されている。1回戦はオランダのマイケル・シェファースを6-2、6-3のストレートで破り幸先よくスタートした国枝。29日の準決勝は先にセットを落とす苦しい展開となったが6-7、6-1、6-2でグスタボ・フェルナンデスを下し決勝進出した。

上地も1回戦でシャロン・ワラベンを6-3、6-1のストレート、準決勝のサビーネ・エラルも6-2、6-1のストレートで下し決勝に駒を進めた。昨年の上地はシングルス準優勝、ダブルス優勝の成績。1年を通しても全仏と全米で単複制覇し、ダブルスのみの全英でも優勝している。グランドスラムでまだ持ってないタイトルは、全豪のシングルスだけだ。

◆テニスと車いすテニスのルールはほぼ同じ

テニスはボールを1バウンド以内に返球しなければならないが、車いすテニスは2バウンド以内とルールで認められている。車いすでボールを追う分が考慮されての違いだが、逆に言えば両者の差はこれだけだ。

道具もコートも、バウンド以外のルールはすべて同じ物を使用する。だからテニスの試合として面白い上に、車いす操作(チェアワーク)の技術が入ってくる。

相手選手が打つと、すぐにボールが落ちる先を予測し一直線に車いすを走らせる。そのスピードや迫力は目が肥えた海外のテニスファンも唸らせる。国枝のプレーを実際に見たことあれば、彼がネットプレーを仕掛けた際、何度も車いすをターンさせながら巧みにボレー成功させるの知っているだろう。

その反射神経や車いすを自分の手足も同然に扱う強靱な上半身に驚かされる。

◆車いすテニスならではの工夫

車いすを操り全力でボール追う車いすテニスは、時に転倒のリスクも伴う。単純に巧いから転ばない、下手だから転ぶというものではなく、転ぶ選手と転ばない選手がいる。

世界ランク8位の眞田卓は過去に「自分が転ぶのは車いすの高さが影響している」と語っていた。

身体が小さい眞田は大柄な外国人選手に対抗するため、車いすの座面を上げる工夫している。そうすると重心も高くなり、スピード出したときに転倒しやすくなるのだ。

こうした工夫も車いすテニスの面白いところだ。選手はコートの状態に合わせ、シューズを履き替えるように車いすのセッティングも変える。メカニカルな戦いでもある。

◆テニスも車いすテニスも2015年は勝負の年

車いすテニスの知名度は、まだまだ高いとは言えない。日本は男女とも世界ランク1位の選手がおり、特に国枝は長くトップに君臨する絶対王者だが、それでもメディアで取り上げられる機会は多くない。

そもそも日本ではテニスが地上波から姿を消し、WOWOWが最後の火を守る状態が続いていた。健常者スポーツとしてのテニスがこうなのだから、障がい者スポーツとしての車いすテニスを知名度どうこう言っても限界がある。

テニスは長く風を捉まえられなかった。だが今は違う。錦織圭が登場し、間違いなくテニスには追い風が吹いている。再びみんなの目がテニスに集まっている。こうした状況で勝っていくこと、勝ち続けることで地道に注目を集めるのが、世界ランク1位の2人にかけられた期待だ。

《岩藤健》

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