21日のナイトセッションでラファエル・ナダルと対戦し、あと一歩のところまで追い詰めたティム・スマイチェクに世界中から賞賛が寄せられている。
試合はナダルの急な体調不良もあり、予選から勝ち上がったスマイチェクにグランドスラマーを倒す千載一遇のチャンスがめぐってきた。第3セットを終えセットカウント2-1とリードしたスマイチェク。
しかし、そこからナダルが意地を見せ2-2まで戻し、第5セットもゲームカウント6-5でリード。キープすれば勝利が決まるサービスゲームを30-0で有利に進めていた。
マッチポイントを目指しナダルがサービスをトスアップする。そのとき観客席から叫び声が上がり、ナダルはサーブをロングした。ナダルは声のしたほうを睨みつけ苛立ちを露わにする。
セカンドサーブから試合続行と思われたとき、スマイチェクは「今のサーブはやり直すべきだ」と主張した。
「相手が誰だろうと関係ない。あのときはプレーの妨げになっていた。僕は正しい事をしただけだよ」試合後のスマイチェクは、大勢の報道陣に注目される前で照れくさそうに語った。
ファーストサーブを打ち直したナダルはこのポイントを取り、40-0でマッチポイントを掴む。ここからスマイチェクもナダルのマッチポイントを3度しのぎ、デュースに持ち込んだ。
最後はナダルが激闘を制したが、敗れたスマイチェクには「大したことをしたわけじゃないって態度が格好いい」「スマイチェクかっこよかった」「大金星を目前にしての素晴らしい行動」「あの場面でこの行動に出れるのは素晴らしい」「スマイチェクは真の紳士だ」など勝者にも劣らない賞賛が浴びせられている。
ナダルも試合後に「4時間以上戦い、最後にあれができる選手は多くない。彼に感謝するとともに、お手本にすべきものだと思う」と語った。
《岩藤健》
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