ソフトバンクホークスはドラフト5位で指名した島袋洋奨投手と入団交渉を行い、契約金4000万円、年俸800万円で合意したと報道がなされた。
島袋は体格こそ小柄ながら、全身を大きく使うトルネード投法で最速150キロのストレート投げ込む左腕。沖縄興南高校時代には春夏連覇も達成した、甲子園のスーパースターだった。
高校を卒業した島袋はプロ入りせず中央大学に進学した。4年間かけて基礎を固め、満を持してのプロ入り狙ったが、甲子園優勝投手を待っていたのは怪我との戦いだった。
期待されて入学した中央大学では1年生から先発マウンドを任される。島袋は期待に応え結果を残し、春のリーグ戦では新人賞も獲得する。秋には成績を落としまだ荒削りな面も覗かせたが、磨けば光る素材であることは示した。
すべてが暗転したのは2年の春リーグ。
1戦目に登板した島袋は9回を2失点に抑える好投も、スコアは2-2の同点。延長に入ってもマウンドには島袋の姿。15回を投げ抜きチームもサヨナラ勝ちしたが、この試合で投じた球数は226。
そして中1日で島袋は3戦目のマウンドにも登った。疲労が抜けない中でも島袋は7回を4安打1失点に抑え勝利投手となる。
ここが島袋の大学野球、最盛期だった。
翌週の試合に登板した島袋は8回4失点と打ち込まれる。さらに肘の故障も発覚し、シーズンの残り試合はすべて欠場した。
秋にはマウンドに戻ってきたが、安定しない投球が続く。球速は150キロを計測するが打者に打ち返され失点を重ねる。
怪我をした焦りからか、島袋は球速を誇示しようと投げ続け、コントロールが荒れていた。それがさらに焦りを生む悪循環に陥る。ストライクを取るのも苦労する投球が続いた。
高校時代は上位指名間違い無しだった評価も急落。指名漏れも囁かれたが、ソフトバンクホークスから5位指名を受け、プロ入りすることが決まった。
甲子園のスターに高校時代の輝きを取り戻してもらいたいと期待するファンは多い。
「復活してくれ!」「トルネード旋風待ってる!」などの声から、先にソフトバンクに入団している東浜の存在もあり、「戸惑うこともあるかもしれないけど、巨くんもいるしがんばれー」との応援も。さらには、「佐藤コーチがどう修正するか見ものだなあ」と、マネジメントサイドへの期待もあがる。
今年から左腕で200勝投手の工藤公康氏が監督となり、日本ハム・楽天でダルビッシュや田中を指導した佐藤義則氏も投手コーチに就任した。
復活を目指す環境としてはこれ以上ないものが揃っている。
《岩藤健》
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