総合格闘技UFCは日本時間の11月16日にUFC180をメキシコシティで開催した。メインカードは正規王者ケイン・ベラスケスの負傷を受け組まれた、マークハントとファブリシオ・ヴェウドゥムの一戦。
元K-1王者のマーク・ハントに対し、ブラジリアン柔術重量級で世界チャンピオンになった実績のあるヴェウドゥム。勝負は寝技に引き込めるか、その前にハントが倒すかの争いになると思われた。
1ラウンドの立ち上がりからハントはパンチを中心に打撃で攻める。右のパンチでダウンを奪っても、ヴェウドゥムが待ち構える寝技には付き合わない。2分過ぎにパンチを打った体勢から、もつれるようにして倒れる。
立ち技のトップから総合格闘技へ転向して長いハント。寝技のディフェンスもこなす。ガードポジションから寝技地獄へ引きずり込もうとするヴェウドゥムに対し、上からパンチを振り下ろしながら脱出する隙を窺う。
素速く立ち上がると残り時間もスタンドでプレッシャー掛けながら過ごした。
2ラウンドに入っても打撃戦ではハントの優位が変わらない。ヴェウドゥムの右ミドルに右のパンチを合わせ顔面を打ち抜く。ここもダウンは奪っても寝技に付き合わない。
ヴェウドゥムはハイキック、後ろ回し蹴りを出すがハントはいずれも見切ってかわした。ヴェウドゥムはタックルでハントの足下を狙う。寝技に引き込まれたくないハントは、このタックルを切る。
直後再びヴェウドゥムの身体がわずかに沈む。またタックルかとハントの意識が足下へ向かった。この隙を見逃さなかったヴェウドゥム。顔面へまさかの跳び膝蹴り。
強烈なパンチ力と脅威の打たれ強さで有名なハントも、予想外の一撃には堪えることができなかった。リングに倒れたハントへヴェウドゥムは渾身の力でパンチを振り下ろす。ほとんど抵抗もできず打たれ続けるハントに、見かねてレフェリーが試合をストップ。
2ラウンド2分27秒ファブリシオ・ヴェウドゥムのKO勝ち。
かつて日本のPRIDEにも上がっていたヴェウドゥム。当時は目立つ選手ではなく、打撃をもらうとあからさまに戦意喪失したが、シュートボクセ・アカデミーに移籍してからは立ち技も磨いてきた。
ヴァンダレイ・シウバも得意としたシュートボクセ仕込みの膝で、暫定ではあるがついにUFC王者となった。
この結果にファンの反応は、
「膝蹴りでTKO取るとは予想だにしない結末じゃないか」
「下にタックル行くと見せかけて膝かよ。 すげぇな」
「昔のハントはセフォーがどんだけ殴っても倒れなかったのになぁ」
「しかしヴェウドゥムがあんな強くなるとは…」
「首相撲からの膝はあると思ってたが飛び膝蹴りは予想外」
2010年には当時最強と呼ばれたエメリヤーエンコ・ヒョードルから三角絞めで一本を奪い、誰もが驚く大番狂わせ演じて見せたヴェウドゥム。再び世界の格闘技ファンに衝撃を放った。
《岩藤健》
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