【小さな山旅】沢の水に触れたくなる、衝動はどこから?…宝篋山(2) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】沢の水に触れたくなる、衝動はどこから?…宝篋山(2)

オピニオン コラム
常願寺コース序盤にある「沢の小道」。
  • 常願寺コース序盤にある「沢の小道」。
  • 常願寺コースの登山道へ。
  • 沢の小道の看板
  • 小さな小さな滝
  • 空を見上げる
  • 展望岩
  • 展望岩の上から
  • 宝篋山の植物
宝篋山の登山道に入り少し歩くと、ちょろちょろと水の流れる音が聞こえてくる。音源を確かめようと更に歩を進めると、とても小さく可愛らしい沢が目の前に現れた。すぐそばには、「沢の小道」と書かれた看板がある。その素敵なネーミングに心が踊らぬ訳がなく、小道の方へと歩いていく。

宝篋山は全てにおいてスケールが小さい。でも、その小さな山には、山の醍醐味がたくさん詰まっている。この沢の小道もそのひとつ。小道は沢づたいに約500m続き、道中には小さな滝がいくつかある。やはりそのどれもがスケールは小さいのだが、思わず歩を止めて見入ってしまう。小さくても、魅力が詰まっていて、返ってコンパクトなお手軽感がある。

◆お気に入りの道

筆者は、宝篋山に登る際、登りのコースはこの沢の小道がある常願寺コースを選ぶことが多い。それは、この沢の小道を歩きたいからにほかならない。小さな沢の流れを見ながら、その流れる音を聞きながら、一歩、また一歩と足を踏み出すのを意識して、ゆっくりと歩く。時折、視線を少し上げて辺りを見回すと、うっそうとした草木が視界を覆い尽くす。更に視線を上の方へ移すと、木の枝と枝の間から、少しだけ空が顔を覗かせる。山に来たんだな、と実感する瞬間である。

◆沢の水に触れる

沢の小道を歩く際の、筆者の勝手な約束事がある。それは、手で沢の水に触れること。水の温度を確認するのである。これは、沢の小道に限らず、登山中に沢を見つけた際に必ずやっている。

最初に断っておくと、じつは宝篋山の沢の水はそれほど冷たくはない(季節にもよるが)。それでも、「山に流れる沢」の水に触れると、「ひゃあ! 冷たい!」と思わず言ってしまうようなイメージをまるごと鵜呑みにしている筆者は、沢を見る度にその冷たさを求めて触れたくなってしまう。

この日の筆者も、沢の小道に流れる沢に手をひたした。もちろん、「ひゃあ! 冷たい!」という言葉は口から出ず、「ふむ」と一人納得し、頂上を目指して歩みを続けるのであった。
《久米成佳》

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