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低弾道ショットとコースマネージメント 堀川未来夢がパー3で高いバーディ率を誇る理由

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低弾道ショットとコースマネージメント 堀川未来夢がパー3で高いバーディ率を誇る理由
  • 低弾道ショットとコースマネージメント 堀川未来夢がパー3で高いバーディ率を誇る理由

今季未勝利ながら、17試合に出場して予選通過が15回、トップ10が5回と安定した成績を残し、賞金ランキング9位につけている堀川未来夢

平均ストロークが5位の堀川は、パー3を得意としており、パー3でのバーディ率が2位。

ドライビングディスタンスが99位と、飛距離が出る方ではなく、パー3のティーショットでは他の選手よりも長めの番手を持つことが多い中、どういったポイントを強みにしてスコアをまとめているのだろうか。

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■パー3のバーディ率2位

堀川はバーディ率のパー3が2位、パー4が9位、パー5が43位タイ。

パーオンを狙うショット(パー4の2打目、パー5の2打目と3打目)の距離が最も他の選手よりも長くなりやすいパー5のバーディ率は振るわないが、他の選手と同じ地点からパーオンを狙うことができるパー3のバーディ率は高い。

また、パー3のバーディ率が高いのは今季に限ったことではない、昨季が3位、2023年が2位タイ。

堀川は、パー3では日本ツアーナンバー1ともいえる高いバーディ率の安定性を誇っているのだ。

■低弾道ショットが強み

堀川が高いバーディ率を実現させられているのは、低弾道ショットの精度が高いから。

低弾道ショットは、風の影響を抑えるためや、より方向を重視するべき場面で使われる。

ショットは、滞空時間が長いほど風の影響を受ける。樹木などの風をさえぎるものを越えると、より大きな影響を受ける。

滞空時間が短く、かつ樹木などの上を飛んでいる時間が短くなる低弾道ショットは、風の影響を受けにくい。

飛距離が出る方ではない堀川は、他の選手よりも大きめの番手でグリーンを狙うことが多くなる。だが、低弾道ショットの距離感が高水準であることで、他の選手の小さめの番手でのショットが風の影響を受けている中、風の影響を受けずに縦距離を合わせることができている。

筆者は横浜カントリークラブで開催されたベイカレントクラシックを観戦。ショートホールティーイングエリアの定点で出場全78選手のショット調査した。

風が吹いている時間が長かったこの日、肉眼での判定にはなるが、堀川のティショットの打ち出し角は最も低かった。

もちろん堀川がそのホールで使っていた番手は、他の選手よりも1~2番手大きいものであったと思われるため、打ち出し角は当然低くなりやすい。

ただ、米ツアー選手のアイアン1番手あたりの打ち出し角の差は2~3度程度で、その値をふまえてみても、この時の堀川の打ち出し角は低いといえるものだった。

■低弾道ショットの打ち方

低弾道ショットを打つためにはインパクトでロフト角を小さくする必要がある。さらにダウンブローに打つことで、より低弾道になる。

堀川は、かなりの量のターフを取る。アイアンだけでなくフェアウェイウッドで低弾道ショットを打つ時も同様だ。それだけダウンブローにインパクトしているということである。

ロフトを立ててダウンブローに打つためには、スイングよりもまずボール位置を変える。

ボール位置を通常よりも右足寄りにすることで、クラブヘッドが最低点を迎える前にインパクトすることになり、ロフトが立ったダウンブローのインパクトになる。

スイング的には、インパクト直後クラブヘッドが低く動くため、フィニッシュはコンパクトになる。シャフトが首に巻きつくようなフィニッシュにはならない。

■優れたコースマネージメント力

堀川の優れたコースマネージメント力はパー3でも発揮されているようだ。

パー3の累計スコアが4位。バーディを多くとっているだけでなく、ボギーの数を抑えてスコアを作っている。

パー3でもリスク回避が最優先。無理して攻めずに、確実に2パットでいけるエリアにグリーンオンさせることや、グリーンに乗らなくても次のアプローチショットが難しくないエリアを狙ってティーショットを打つ。

がむしゃらにピンを狙うのではなく、保険をかけながらプレーしているのだ。

筆者は昨季、東京ゴルフ倶楽部で開催された日本オープンを現地で観戦。出場全120選手のショートホールのティーショットを定点で調査した。

このホールのピンポジションは右手前で、多くの選手がピンをデッドに攻めようと高弾道のショットを打っていた。

しかし堀川のショットは低弾道。それも出場選手の中で一番と言える低さで、ピン左に安全にグリーンオンさせていた。

■一般ゴルファーが真似するべきポイント

一般ゴルファーが高弾道をイメージしてショットするとハンドレイトインパクトになりやすくなってしまう。だから堀川が得意としているような低弾道のショットをイメージした方が良いだろう。フェースでしっかりとボールをつかまえられるハンドファーストインパクトになりやすい。

しかし、無理にダウンブローに打とうとしない方が良い。クラブヘッドをボールに対して上からぶつけに行ってしまうと、上体のつっこみなどのエラーが生じてインパクトが不安定になりやすくなるため注意が必要である。

堀川のコースマネージメントは一般ゴルファーも取り入れた方が良い。

平均スコアが90を超えるゴルファーはピンポジション関係なくグリーンセンターを狙った方が好スコアが出る、という研究結果も公開されている。視界を広く持ち、ピンにばかり意識を向けないようにしたい。

堀川のユーチューブチャンネルでは、ツアー選手ならではのコースマネージメント術が多く公開されている。一般ゴルファーの参考になる部分も多いのでチェックしてみて欲しい。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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