
ナ・リーグ東地区において、現在首位をひた走るニューヨーク・メッツ。今季から大型契約で加入したフアン・ソト外野手の調子が上がらないものの、リードオフマンであるフランシスコ・リンドーア内野手や、主砲のピート・アロンソ内野手など不動のレギュラーたちの活躍もあり、チーム打率はMLB全体で13位とまずまずの位置につけている。
一方で、投手陣の成績は目を見張るものがあり、防御率(2.86)と自責点(190)はMLB全体1位。投手陣の好調ぶりが、現在の順位に反映されているのだろう。その中でも、エース級の活躍を見せているのが千賀滉大投手だ。
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■非常に有効なスイーパー
今シーズンは12試合に先発、6勝3敗、防御率1.59、奪三振65、WHIO1.18、QS達成率50%と絶好調。2024年は怪我の影響で思うようなパフォーマンスを見せられなかったが、今季は完全復活とも言える活躍で防御率はリーグ1位。サイ・ヤング賞レースにも名を連ねている。そんな右腕の好調要因をデータで探ってみると面白いことがわかってきた。
スタットキャストのデータによると、千賀が投げているのは4シーム、フォークボール、カッター、スライダー、スイーパー、シンカー、カーブの7球種に分類されている。割合は4シーム30.3%、フォークボール28.8%、カッター20.6%でおおよそこの3球種を主体に投球を組み立てているが、中でも有効なボールはやはり代名詞の“お化けフォーク”だ。空振り率(Whiff%)が41.3%と非常に高い数値となっており、決め球として効果的な1球になっていることがわかる。
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さらに、投球割合としては5.7%と高くないもののスイーパーも非常に有効的。お化けフォークよりも高い空振り率44.8%を記録しているのだ。千賀=フォークのイメージが強いため、ある程度フォークのケアを意識する中で時折投げる曲がり幅のあるスイーパーが非常に効果的に作用しているのだろう。
■コントロールには改善の余地あり
サイ・ヤング賞レースにも参戦しそうな千賀。今後さらなる進化を求める上で必要なのは、与四球をどれだけ抑えるかに鍵があるかもしれない。今季の千賀はここまでBB%(与四球率)は10.9%と、MLB下位の21パーセンタイルに位置。与四球30はナ・リーグ9番目の多さになっている。曲がり幅の大きい変化球を駆使するスタイルの弊害ともいえるかもしれないが、First pitch Strike%(初球ストライク率)も54%と平均より若干低いことから、コントロール面はまだまだ改善の余地があるだろう。
山本由伸投手とともに、ナ・リーグの賞レースを引っ張る存在として、現地アメリカでも注目を集める千賀。ルーキーイヤー以上の活躍でチームを優勝に導けるのか期待が高まる。次回の登板は日本時間13日、本拠地でのナショナルズ戦の予定となっている。
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