
10日から男子プロゴルフツアー開幕戦 東建ホームメイトカップが、三重県の東建多度カントリークラブで開催される。
2021年大会と24年大会で優勝した金谷拓実は今季から米ツアーを主戦場にしており、22年大会で優勝した香妻陣一朗は、今季がLIVゴルフリーグを主戦場にして2年目だ。
東建ホームメイトカップの20年代の優勝者を見ると海外ツアーへ飛び出していった選手が目立つわけだが、今回、これから海外に羽ばたいていく可能性がある3名を紹介したい。今平周吾、木下稜介、清水大成だ。
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■ショット不調脱出の今平周吾
今平は2017年から毎シーズン優勝をあげている実力者。
2018年、19年と2年連続賞金王に輝いたものの、20-21年は9位、22年は12位と、少しずつ賞金ランキングが下がっていった。
賞金王となった年はパーオン率が4位と2位だったが、20-21年は12位タイ、22年は18位で、ショットの不調が賞金ランキング下降を招いた。
だが、2023年は6位、24年は8位と、パーオン率は向上傾向。23年は開幕戦である東建ホームメイトカップを制して勢いに乗り、賞金ランキングも5位に入る活躍を見せた。さらに2024年は日本オープンで国内メジャー初制覇。最終日の最終ホールで沈めた超ロングパットが勝負を決めた一打となった。
今季も高いショットの精度で、安定感が高いプレーを見せてくれるだろう。
■木下稜介は今季こそ賞金王なるか
2021年に国内メジャーを含む2勝をあげて以来、優勝から遠ざかっていた木下は、昨季、3年ぶりの優勝を、5月のミズノオープンで飾った。
日本オープンでは今平とデッドヒートを繰り広げた。最終組で回り、一組前に今平。17番ホールでグリーン周りからのバンカーショットを直接カップに放りこみ、今平に追いついたものの、最終ホールでの今平の奇跡的なパットの前に屈した。
賞金ランキングは2020-21年に3位と躍進したが、22年、23年は、21位、31位と下降線をたどった。だが、24年は6位。賞金王のチャンスが残されていた終盤は、怪我をおして戦った。
2020-21年もそのチャンスがあった。二度逃したことで、賞金王への思いはより強まったのではないだろうか。
■清水大成は圧倒的強さ発揮も
未勝利でありながら、今季一気に賞金王まで駆け上がっても不思議ではないのが、昨季の賞金ランキングが8位の清水。
飛距離の出るドライバーショット以上に、パットがプレーを支えている。昨季はパーオンホールの平均パット数も、1ラウンドあたりの平均パット数も1位となった。
平均ストロークは、予選ラウンドが5位、第3ラウンドが8位、第4ラウンドが10位。ラウンドが進むにつれてスコアを伸ばしきれなかった傾向が見られる。昨季の経験を生かして、勝負所でもう一押しできるようになれば、初優勝が近づく。
■3人とも米ツアー志向
今回あげた3人はみな米ツアー志向だ。
今週、アメリカではマスターズが開催されるが、今平は2019年、20年大会に出場。20年は予選を通過し44位タイに入った。「いるべき場所はここじゃない」という思いを力に変えて東建多度CCをプレーする。
木下が昨季の終盤、怪我をおして試合に強行出場したのは、賞金王という名誉のためだけではなく、米ツアー最終予選会の挑戦権が欲しかったということもある。
結果、狙い通りにことを運べなかったが、今季こそ米ツアーに羽ばたくチャンス獲得をと、意気高くシーズンに入って行くのではないだろうか。
清水も米ツアー予選会挑戦のチャンスをうかがう。昨季は日本開催の全米オープン予選会に挑戦し、見事出場権を獲得した。本戦は惜しくも1打足りず予選落ちとなったが、米ツアーへの意識が一層高まったのではないだろうか。
今季米ツアーを主戦場にしている選手は5人。来季はそこに、今回あげた3人のうち誰かが加わっているかもしれない。日本時間の早朝に開催される松山英樹出場のマスターズだけでなく、昼に開催される東建ホームメイトカップでの米ツアー挑戦を見据える選手達のプレーにも注目だ。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。