
今週は、牝馬クラシック第一弾、第85回桜花賞(GI、芝1600m)が阪神競馬場で行われる。
今年は、阪神JF覇者アルマヴェローチェをはじめ、チューリップ賞を制したクリノメイ、同2着ウォーターガーベラ、同3着ビップデイジーに、フィリーズレビューを制したショウナンザナドゥ、同2着チェルビアット、同3着ボンヌソワレ、アネモネSを制したトワイライトシティ、同2着のプリムツァールといったトライアル組に加え、クイーンCを制したエンブロイダリー、昨年のアルテミスS覇者ブラウンラチェット、きさらぎ賞2着のリンクスティップなど、3歳牝馬のトップメンバーが集結し、見応えのある一戦となりそうだ。
そんな中、フェアリーSを制したエリカエクスプレスが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■臨戦過程やキャリアの浅さ、血統面が大きな減点材料
エリカエクスプレスは、昨年10月の京都デビュー戦を逃げ切って楽勝。前走フェアリーSでは、ハイペースな流れの中を好位から追走し、楽な手応えで抜け出すと後続に3馬身差をつける快勝劇を演じた。そのスピードは世代屈指。桜花賞でも主役の一角に名乗りを上げている。
その勝ちっぷりは見事だったが、フェアリーSの桜花賞への結びつきは乏しいものである。2022年の桜花賞馬スターズオンアースのように、フェアリーS2着からクイーンC2着を経て桜花賞馬に輝いた例はあるものの、フェアリーSから直行で桜花賞に臨んだ馬は過去10年で【0.0.1.6】。好走したのは21年3着ファインルージュただ1頭だ。また、過去10年のフェアリーS勝ち馬のうち、半数の5頭は最後の勝ち鞍がフェアリーSだったという結果になっており、果たしてエリカエクスプレスはどちらに当てはまるだろうか。
キャリア2戦という点も歓迎できる材料ではない。過去10年では【1.0.1.8】の成績で、20年デアリングタクトが勝っているが、同馬は桜花賞と結びつきの強いエルフィンSを制していた。新馬→重賞勝ちの2戦2勝は、22年プレサージュリフト(クイーンC1着→桜花賞4人気11着)、23年ライトクオンタム(シンザン記念1着→桜花賞2人気8着)など、人気を集めて凡走するケースが多く、2戦2勝の重賞勝ち馬は眉唾ものと考えるべきだろう。
血統面でも、母父に名を連ねているガリレオがネック。世界では種牡馬として超一流で、数多くのGI馬を輩出しているが、日本での産駒は重賞未勝利。母父としては8頭の重賞ウイナーを輩出しているが、GIでは23年ホープフルS、24年ジャパンCでともに2着のシンエンペラーが最高着順だった。母父ガリレオ該当馬は過去10年の阪神芝1600mでわずか1勝にとどまっており、正直手は出しにくい。
先週終了時点で、全国リーディングのトップをひた走る戸崎騎手&杉山晴厩舎のコンビで、注目度の高いエリカエクスプレス。だが、臨戦過程やキャリアの浅さ、血統面を考慮すると今年の桜花賞では厳しい戦いになると予想される。人気ほどの信頼度は高くなく、妙味を考えると少なくとも「頭」勝負は避け、場合によっては「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。