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国内男子ツアーは先週から後半戦に突入。前半戦は、中島啓太や蟬川泰果、平田憲聖、金谷拓実といった新世代たちの活躍が目立つ。一方で実力のある中堅選手たちも負けじと食らいついており、賞金王争いも今後どのような展開となるか注目したいところだ。
とくにツアー通算18勝を誇る石川遼は、前半戦12大会に出場し予選落ちが3回あったが、トップ10入りも3回。昨年の同時期と比較しても安定した成績を残している。
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■スタッツにも現れる安定感
石川の今季のスタッツで注目したいのが、ドライバーショットの安定感を表すトータルドライビングというもの。これはドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率の順位を足し合わせた数値で、この合計が低いほど安定したショットを生み出している。
今季の石川のドライビングディスタンスは304.54ヤードで8位と自己最高の記録。フェアウェイキープ率は53.390%で79位と一見すると落ち込んでいるようにも見える。しかし昨年から平均飛距離を10ヤード以上伸ばし、自己最高水準のフェアウェイキープ率を維持していると考えると、国内ツアーに復帰した2018年以降で最もティーショットが安定していると言える。
ティーショットの安定感は、セカンドショット以降にも良い影響を与えており、今季のパーオン率は70.238%で9位。ショットが安定したことによって大崩れすることが少なくなり、バーディ率も向上していることがわかる。
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2018年以降の石川遼のスタッツ
■新スイングと軟シャフトがマッチ
今季の安定感は石川が取り組んできたスイング改造の成果と見て良い。石川は2020年から大幅なスイング改造に取り組み、以前よりもコンパクトなトップ、左手の掌屈動作、ゆったりとしたスイングテンポに修正をした。その結果、スイング時のフェースローテーションが減り、方向性が安定。また体全体を使うスイングで飛距離もアップさせた。
さらに先週はスイングテンポに合わせるように、ドライバーのシャフトの硬さを従来のXよりも軟らかいSに変更。シャフトの先端をカットし、余計なしなりを抑えることで振りやすい硬さに調整した。
道具の影響もあってか、SansanKBCオーガスタでは4日間でフェアウェイキープ率62.500%を記録。これまであった右へのプッシュや、引っ掛け気味のショットは減り、ミスしても許容範囲に収まるショットを見せていた。
今季の石川はティーショットの安定感が増したことで、ショットへの自信を取り戻したようにも見える。あとはセカンド以降やパットが噛み合ってくるか。
先週はグリーンが高麗ということもあり、得意のパットも決まらず苦戦していたようだが、次戦以降は主にベント芝のグリーンとなる。慣れたベントグリーンで得意のパットも決まり始めれば、出場した大会で上位に食い込んでくる可能性は十分だ。
さらに後半戦は石川が複数回優勝を経験した大会や、賞金総額の多い大会も控えている。とくに今週のフジサンケイクラシックは、過去10回出場し、優勝2回、トップ10入り7回、予選落ち1回と非常に相性の良い大会。調子をさらに上げた石川であれば、フジサンケイクラシックで今季初優勝も大いにあり得るだろう。
プロ16年目の後半戦、ドライバーショットの安定感を手に入れた石川の快進撃はあるのか注目したい。
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文●SPREAD編集部