【BCリーグ】ドラフト2023候補は強打の19歳遊撃手、最速151キロ守護神、ヒールアップのサイド右腕 スカウト熱視線の3選手 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【BCリーグ】ドラフト2023候補は強打の19歳遊撃手、最速151キロ守護神、ヒールアップのサイド右腕 スカウト熱視線の3選手

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【BCリーグ】ドラフト2023候補は強打の19歳遊撃手、最速151キロ守護神、ヒールアップのサイド右腕 スカウト熱視線の3選手
  • 【BCリーグ】ドラフト2023候補は強打の19歳遊撃手、最速151キロ守護神、ヒールアップのサイド右腕 スカウト熱視線の3選手

ルートインBCリーグ選抜対NPBファームの試合が14日、15日に行われ、プロ野球各球団のスカウトが集結した。

この選抜戦は、各球団がドラフト候補を実際にその目で見て評価を行うショーケース。試合の成績が指名に直結するわけではないが、こうした大事な場で結果を残すことも、プロ野球を目指す選手にとっては重要なファクターだ。14日には北海道日本ハムファイターズ二軍戦(鎌ヶ谷スタジアム)、15日には西武ライオンズ三軍戦(CAR3219フィールド)の2試合が行われた。

初日には9人の投手が登板し、野手も特別ルールで交代しながら14人が出場した。2日目も投手10人・野手14人が参加したが、雨に見舞われ、1回の表裏を戦ったのちに室内練習場に場所を移し、BCリーグ選手同士の対戦でシート打撃が行われた。

ここでは中でも目立った選手について紹介する。

◆ドラフト会議の光と影、「選ばれし者」の行く末 大谷翔平も強行指名の過去

■金子 功児(かねこ こうじ)

●光明学園相模原高→埼玉武蔵ヒートベアーズ 19歳 遊撃手 右投左打 176cm 77kg

この2日間でスカウトに一番強い印象を与えたのは、何と言っても埼玉武蔵ヒートベアーズの金子功児だろう。高卒2年目でまだ19歳。日本ハム二軍戦では畔柳亨丞の速球を振り抜きレフトスタンドに運んだが、本人は「先っぽだった」と首を捻った。会心と振り返ったのは、翌日西武三軍戦で昨年のパ新人王・水上由伸から放ったセンター前ヒット。スムーズで力強いスイングは非の打ちどころがなく、その後のシート打撃でも快音を響かせた。

今季は3番ショートを務める金子だが、特筆すべきは昨年からの成長度合いだ。高卒ルーキーとして昨季56試合に出場し、打率は.210。遊撃に定着した選手が他にいなかったためリーグベスト9には選ばれたが、失策も24と実力不足は本人も痛感していた。オフにはウエートトレーニングを重視し、振る力を磨いた。今季は2番を打つ清田育宏(元ロッテ)の姿を見て、タイミングの取り方も参考にする。技術的な指導は片山博視(元楽天)選手兼任ヘッドコーチに仰ぐ。4月に5割を打ち、5月には3本塁打。本人はホームランバッターではないと強調するが、決してまぐれではない。鋭いスイングで強く引っ張れることが持ち味だ。

積極打法で現在、高い打率をキープしているが、シーズン中には不調もあるだろう。スランプに陥った際、どのように持ち直すか。少々不安のある守備に改善が見られるか。元々センスはあるし肩もいい。短期間で予想を上回る成長を見せただけに、この先も伸びて行けばドラフト指名は現実味を帯びてくる。

ユニフォームを脱げばアイドルと言われても納得するような風貌で、ファンからの人気は高い。スカウトからも「顔もいいね。人気が出そう」という言葉が聞かれる。秋まで目が離せない。

ファン人気も高い金子はスカウトからも評価されている 撮影:井上 尚子

■芦田丈飛(あしだ・たけと)

 ●国士舘大学→オールフロンティア→埼玉武蔵ヒートベアーズ 23歳 投手 右投右打 185cm 88kg

今年から埼玉武蔵に所属する芦田丈飛は、その速球で一躍注目を浴びる存在。BC選抜戦では2日間の帯同となり、日ハム戦の9回と翌日のシート打撃で登板した。最速は149キロ。ヒット1本は打たれたものの三振も取り、ホームベース付近での球の強さや変化球のキレ、コントロールの良さなど、今後もスカウトがマークすべき要素は見せた。

シーズン前のオープン戦、埼玉武蔵ヒートベアーズが横浜DeNAベイスターズ二軍と対戦した日には、いきなり151キロを出し、横須賀スタジアムの観客をどよめかせた。現在はクローザーに定着しセーブを重ねる。一番の持ち味は速球だが、ツーシーム、フォークも得意球だ。

国士館大学時代には故障・手術もあって登板は少なく、社会人オールフロンティア時代も無名だったが、プロ野球を目指す意志の強さは誰にも負けない。意識の高い選手だ。個人的にパーソナルトレーナーにピッチングの動作分析と指導を受けており、データに照らして身体各部を意識した使い方をする。栄養補給やトレーニングにも余念がない。

3月の出陣式では、ファンの前で「NPBに行くためではなく、一軍で活躍することを考えてやっている」「言うだけなら誰にでもできる。自分は結果で見せる」と豪語した。秋まで全力で駆け抜けることは間違いない。

選抜チームでは、これも速球派の入江空(栃木)にフォークを教わり、次の登板で早速試して見せた。トレーナーに教わって身につけたフォークもあり、二種類を使い分ける。進化し続ける剛腕が、また一つ武器を手にした。

速球にツーシーム、フォークを得意球とする芦田丈飛 撮影:井上尚子

■上村知輝(うえむら・ともき)

●創価大学→新潟アルビレックスBC 23歳 投手 右投右打 182cm 90kg

新潟アルビレックスBCの上村知輝はパワーのあるサイド右腕だ。急遽選抜に招集され、日本ハム戦の7回に登板。奈良間大己、阪口樂から三振を奪い、清水優心にホームランは打たれたものの、後続は断った。昨年は終盤僅かに軸足の踵を上げているように見えるという程度だったが、今は明らかに「ヒールアップ」をしているのが印象的だ。

昨年新潟に入団した上村は、リーグトップの46試合に登板し、タフネスぶりを見せた。威力のあるストレートと大きく曲がるスライダー、ツーシームを駆使する。昨季は中継ぎながら規定投球回数に到達し、6勝をマーク。秋にはドラフト候補に名を連ねたが指名はなく、悔しさを糧に今季に賭ける。昨年より平均球速も上げて145キロ付近をコンスタントに記録するようになっており、パワーアップした投球を見せている。サイドハンドながらフォークを使えるようになったことで、昨年3割台だった対左打者の被打率を1割台と大幅に改善している。

新潟は左右のサイドスローやアンダースローという変則投手が目立つ。上村にとっても、チーム強化アドバイザー兼投手コーチの野間口貴彦(元巨人)の存在は大きいだろう。

「自分との勝負ではなく、打者としっかり勝負するというのは投手陣が常に言われているので、それを心がけています。今日も、ゾーンでしっかり腕を振ることができました。ホームランも3-2からフォアボール出すくらいならしっかり勝負しようと思って。それで打たれたのは実力不足です。これからスピードももう一段階上げていって、チームが勝っている時に必ず抑えられるようにしたい」。

昨年からの成長は明らかだ。後半戦に向けてもう一段階ステップアップできれば、面白い存在になるだろう。

パワーのあるサイド右腕の上村知輝 撮影:井上尚子

6月のBC選抜は、スカウトから名前の上がった選手で組まれているが、いわば「中間テスト」だ。通常9月にも選抜戦が組まれ、その時にはかなり具体的に「ドラフト候補」たちが集められる。結果を出せた者も、出せなかった者も、勝負はまだまだ続く。

選抜チームでは普段顔を合わせない、異なる球団の選手同士や指導者が顔を合わせ、意見交換をしたり、アドバイスを送ったりする場面もある。巽真悟投手兼コーチ(茨城・元ソフトバンク)にカーブを習う鈴木駿輔(信濃)や、館山昌平コーチ(福島・元ヤクルト)にフォークを教わる土生翔太(茨城)などの姿も見られた。他の選手たちも普段得られない刺激を受け、新たな覚悟を持ってそれぞれのチームへ戻っていく。何を身に着け、どうアピールしていくか。この先のリーグ戦が楽しみだ。

◆ドラフト会議の光と影、「選ばれし者」の行く末 大谷翔平も強行指名の過去

◆鹿児島の離島にいる146キロ左腕、大阪桐蔭に強打の捕手… 選抜で注目のドラフト候補

◆10年が経つと明暗クッキリ… 2011年ドラフトの成果と直後の“評価”を検証

文●井上尚子(いのうえ・ひさこ)

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