【Bリーグ】 琉球ゴールデンキングス、7季目で悲願の初優勝 沖縄のバスケの歴史が花開いた夜 後編 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Bリーグ】 琉球ゴールデンキングス、7季目で悲願の初優勝 沖縄のバスケの歴史が花開いた夜 後編

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【Bリーグ】 琉球ゴールデンキングス、7季目で悲願の初優勝 沖縄のバスケの歴史が花開いた夜 後編
  • 【Bリーグ】 琉球ゴールデンキングス、7季目で悲願の初優勝 沖縄のバスケの歴史が花開いた夜 後編

◆【前編】琉球ゴールデンキングス、7季目で悲願の初優勝 沖縄のバスケの歴史が花開いた夜

■沖縄県のバスケ熱

さらに沖縄県のバスケ熱は、群を抜いている。

ファイナルの舞台でも、多くのキングスブースターが詰めかけた。GAME2では13657人が来場、会場は白と赤のファンで埋め尽くされた。Bリーグの担当者は「そのうちおよそ2000人近くが沖縄県から来場している」と明かした。

ブースターと作り上げた一体感は素晴らしかった。熱い声援が選手を後押しし、優勝決定後にはカチャーシーを踊り喜んだ。独自の文化と地域に対する想い。今シーズン途中から、マスクを着用した上での声出し応援が解禁された。会場内には「ゴージェッツ」とともに「ゴーゴーキングス」が響いていた。沖縄アリーナの雰囲気があると試合中に感じていた桶谷HCは、会見でも「キングスの声援しか聞こえないほど乗れていた。ファンの方は、僕たちが試合をしやすいように雰囲気を変えてくれた」と、日本一だというブースターを称えていた。間違いなくブースターとともに勝ち取った優勝だった。

新設された「ロックアイス・ベース」にて開幕前の取材に応えるジョン・パトリックHC 撮影:SPREAD編集部

惜しくも準優勝に終わった、千葉のジョン・パトリックHCは、会見で「残念だが、今シーズンの千葉は恥ずかしがることはないし、今日もみんな全力を出した。僕は選手もスタッフも素晴らしいシーズンで誇りに思う。すごくポジティブな思い出が多い」と振り返った。

富樫勇樹も「悔しい思いもあるが、今シーズン、チームでやってきたこと、長いシーズンをチームメートと助け合いながらファイナルまで戦えたことを誇りに思う」と総括した。史上最強とまで言われた今シーズンの千葉。

3月12日に行われた第98回天皇杯全日本バスケットボール選手権大会では、同じく琉球と対戦し優勝を果たした。天皇杯と合わせて2冠も期待されたがあと一歩のところで成し遂げることはできなかった。

今シーズン、パトリックHCからも絶大な信頼を得て大きな成長を遂げた原修太は、「終わってしまったので、どうすればよかったとか後悔はない。今は次のシーズンでもっとチームを勝たせられるような選手になりたい。今年はチャレンジのシーズンだった。ディフェンスに限らずオフェンスでは、得点面やファーストオプションでやらせていただいた経験ができた。次はそのクオリティを上げて、大事な試合でもっともっと自分から崩せるような選手になっていけたら」と、すでに気持ちを切り替えて前へ進もうとする貪欲さを見せた。鋭く次への挑戦を見据える原の姿は印象深かった。

千葉ジェッツを牽引する原修太 提供:千葉ジェッツ

昨シーズンの琉球同様、この悔しさを糧に来シーズンを戦う千葉はより強みを増すのだろう。

■バスケットに興味や関心がないファンも視聴

GAME2の開始前の28日、Bリーグの島田慎二チェアマンは記者会見に臨んだ。まずは前日に行われたGAME1について「正直言ってこういうこともある。ファイナルの舞台は何があるかわからない。今シーズン、過去最強と言われる千葉ジェッツの優勢を語っている方が結構多かったが、そう簡単にはいかないだろうと思っていた。琉球はしっかり準備をしてくる。私も経験があるが優勝することは難しい。琉球は昨年、宇都宮に敗れた悔しさや天皇杯で敗れた悔しさとか、これだけファイナリストとしてこの地に来ている時点で力があり、もう少しのところに来ている。悔しいという気持ち、3回も負けるわけにいかないという選手たちの迫力に注目していた」と振り返った。

ダブルオーバータイムにまで及んだGAME1。ファイナルは地上波で全国中継された。島田チェアマンは、SNSを通しファンのリアクションをチェックしながら観戦していたと明かした。「おそらくバスケットに興味や関心がない方々も見ていて、Bリーグすごいな、バスケ面白い、やばい、みたいなコメントが出まくっていた。いい形でバスケの魅力を、このカードでご紹介できた」と、誇らしげに語った。

公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ島田慎二代表理事CEO(撮影:SPREAD編集部)

残念ながら試合がダブルオーバータイムにもつれたことで、全国中継では尺の中に収まらないというハプニングも発生。その要因の一つとして島田チェアマンは、「そもそもBリーグのゲームは少し時間が長くなっている。2時間くらいで終わるのがいいのではないか。コーチチャレンジ、リプレーシステムや試合前のセレモニーが伸びている印象。改善してスピード感あるバスケにフィットした時間に収まるよう努力していきたい」と、今後の取り組みとして語っていた。

また、GAME1では1万1410人、GAME2には1万3657人が来場した。GAME1だけを見れば13000人という目標には満たなかったが、「熱いファンが多い両チーム。声出し応援が可能になったファイナルで、相当な声が出ていた。今シーズンの開幕前に我々は、ファイナルまでに全面的に声を出せる状態までたどり着いておきたいと話していた。そういう状況が作れたことをうれしく思っている。来シーズンはマスクなしで」と、満足感と来シーズンへ向けての期待も述べた。

来シーズンのB1は、今シーズンB2を制覇した佐賀バルーナーズと準優勝の長崎ヴェルカが昇格を決めている。来季全24クラブの地区分けは以下の通り。

東地区:北海道、仙台、秋田、茨城、宇都宮、群馬、千葉J、A東京中地区:SR渋谷、川崎、横浜BC、富山、信州、三遠、三河、FE名古屋西地区:名古屋D、京都、大阪、島根、広島、佐賀、長崎、琉球

2022-23シーズンは、琉球が悲願の優勝を果たし、幕を閉じた。すでに各チーム、移籍などについての発表が順次行われている。来シーズンはさらに各チームの力が拮抗し熱い戦いが繰り広げられることが予想される。2023-24シーズンの開幕がすでに待ち遠しい。

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。

《SPREAD》
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