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ジャパンラグビー リーグワン2022-23シーズンは4月23日に最終第16節が終了。残すはプレーオフの準決勝2試合に加え、決勝と3位決定戦の4試合のみ。リーグ戦を振り返りながら、優勝の行方を展望する。
■プレーオフ進出チームの総括
リーグ戦トップは埼玉パナソニックワイルドナイツ。昨シーズン、リーグワン初代王者となった強さを今年も見せつけた。日本代表の2人のスタンドオフ、松田力也、山沢拓也に象徴される選手層の厚さはリーグ随一。安定感が光った。
2位はクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。根塚洸雅、木田晴斗の若い両ウイングが走り回る面白いラグビーが結実した。マルコム・マークスを中心としたフォワード陣の前に出る圧力も強く、攻撃力が向上。得点636はリーグ最多だった。
第3位は東京サントリーサンゴリアス。昨シーズンはリーグ戦をトップで通過したが、今年は4敗を喫し3位に下がった。過去2シーズンは、ボーデン・バレット、ダミアン・マッケンジーというスーパースターが得点王を獲得する活躍でチームを牽引したが、一歩後退した印象だった。
横浜キヤノンイーグルスは、東芝ブレイブルーパス東京との激戦を制して4位に入った。ジャパンラグビー界きっての理論派、沢木敬介がヘッドコーチに就任して3年目、チーム初のプレーオフ進出を果たした。
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■勢いに乗るイーグルスに勝機あり
準決勝第1試合は、「ワイルドナイツ vs. イーグルス(13日・秩父宮)」。ワイルドナイツにイーグルスが挑む構図だが、力差は思ったほど大きくない。リーグ戦ではワイルドナイツが21-19で勝利しているが、この試合、74分にイーグルスが一時逆転。試合終了直前にヴァルアサエリ愛のトライで追いつき、コンバージョンで再逆転という超クロスゲームだった。
ワイルドナイツは第15節で静岡ブルーレヴズに25-44と敗れた。しかもスクラムで押し込まれ、突き放される完敗だった。この敗戦で公式戦の連勝記録が47でストップ。「善戦はできても、ワイルドナイツには勝てない」という“神話”が崩れた。
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南アフリカ代表ファフ・デクラーク(c)Getty Images
一方のイーグルスは勢いに乗る。リーグ戦の4敗はいずれも上位チームで、ほぼ互角の接戦。第2節のスピアーズ戦は引き分けだった。新加入のファフ・デクラーク、田村優のハーフ団がきっちりと機能、とにかくボールがよく動く。チャレンジャーとしてのモチベーションも高いはずだ。沢木マジックが光れば、逆転はありうる。
■リーグ戦ではスピアーズが連勝
もうひとつの準決勝は、「スピアーズ vs. サンゴリアス(14日・秩父宮)」。リーグ戦では、第1節と最終節に対戦し、スピアーズが39-24、31-18と連勝した。最終節は74分までサンゴリアスがリードしていたが、ルアン・ボタのトライで逆転。バーナード・フォーリーのPGでダメ押しをする強い内容だった。“えどりく不敗神話”が継続した一戦でもあった。
サンゴリアスは、齋藤直人(SH)、テビタ・タタフ(No8)、アーロン・クルーデン(SO)、中村亮土、中野将伍(CTB)、松島幸太朗(FB)とキラ星のようなスターがピッチに並ぶ。潜在的な戦力は上回っていると考えていいだろう。
■ワイルドナイツ、サンゴリアス2強時代からの世代交代があるか
さて、試合の予想だが、期待を込め、イーグルスとスピアーズの勝利としたい。日本ラグビーは、長年、(サントリー)サンゴリアスと(パナソニック)ワイルドナイツの2強時代が続いてきた。そろそろフレッシュな戦力を持つチームへの世代交代、混戦のリーグ戦を見たい。2022-23シーズンのプレーオフがその序章となれば、来シーズンのリーグワンはますます面白くなる。
決勝は20日、国立競技場で行われる。
頂点に立つのは、強豪か、新しい力か。見逃せない3試合となる。
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著者プロフィール
牧野森太郎●フリーライター
ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。