【Wリーグ】まさに球宴、バスケットボールの楽しさ満載のオールスター 「また来てくれるのを待ってます」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Wリーグ】まさに球宴、バスケットボールの楽しさ満載のオールスター 「また来てくれるのを待ってます」

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【Wリーグ】まさに球宴、バスケットボールの楽しさ満載のオールスター 「また来てくれるのを待ってます」
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バスケットボールの楽しさが伝わる、まさに球宴だった。

京王観光 presents Wリーグオールスター 2022-2023 in有明」は30日、東京・有明アリーナでオールスターゲーム本戦が行われ、Team SUNRISEとTeam STARLIGHTが対戦。元WNBAプレーヤー、渡嘉敷来夢や東京五輪銀メダリスト髙田真希らをメンバーにそろえたSUNRISEが88-87で接戦を制した。

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■球宴の二文字にふさわしいイベント

詰めかけたファンの熱狂が伝わる 撮影:たまさぶろ

Wリーグのオールスターは29日、30日とゴールデンウィーク序盤の2日にわたって開催され、それはまさに球宴の二文字にふさわしいイベントだった。

29日、初日にはまずデビューを果たしたばかりの選手たちによるフレッシュ・オールスターが行われ、姫路イーグレッツの白崎みなみがMVPに選出された。また、韓国の女子プロ・バスケットボール・リーグWKBLから代表を招聘し、日韓対抗でスキルズ・チャレンジや3ポイント・コンテストが開催された上、「Wリーグ・オールスターUNITED」と「WKBL ライジング・スターズ」による日韓オールスター対決の熱い戦いが繰り広げられ、89-84でWリーグ・チームが接戦をものにした。この試合では、トヨタ紡織サンシャインラビッツの東藤なな子がMVPに輝いた。

この日韓対決もにぎやかではあったが、本番は2日目だ。

■東京オリパラ銀メダル戦士同士が激突

この日は最強のマスコット決定戦「13チーム対抗ISTGヘビー級選手権トーナメント」、また車いすバスケットボール男子日本代表選手と女子日本代表選手による「ALL BASKETBALL ACTION in 有明 Supported by 日本生命グループ」という車いすバスケの対決も見られた。車いすバスケットボール男子日本代表とバスケ女子日本代表と言えば2021年の東京オリンピック・パラリンピック大会でともに銀メダルに輝いたメンバー。もちろん車いすを使用し行われたため男子の勝利に終わったが、バスケの楽しさが盛り込まれた対戦だった。

試合後、記者団の取材に応える豊島英 撮影:たまさぶろ

試合後、車いすバスケ日本代表の豊島英は「こうしたオールスターに車いすバスケを呼んで頂いて嬉しいです。銀メダリスト同士の交流も。銀メダル以来の有明アリーナは『思い出の地』で懐かしい。自分が頑張ったことを振り返るいい機会になった」と感慨深げ。「ALL BASKETBALL ACTION」の名称どおり、5人制も3人制も車いすも、ジャンルにこだわることなく、すべてのバスケットボールを盛り上げるという企画の意図にふさわしい対戦だった。

スキルズチャレンジはENEOSサンフラワーズの宮崎早織が、3ポイント・コンテストは同じくサンフラワーズの林咲希が勝ち取った。

■石橋貴明がアンバサダーに就任

石橋貴明が登場 撮影:たまさぶろ

16時チップオフの本戦を前にオープニング・セレモニーはなんと15時からスタート。スペシャルゲストに石橋貴明が登場。すると選手紹介シーンではデンソーアイリスの髙田ら3選手が、2018年まで放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした』で好評を博した「モジモジくん」全身黒タイツで姿を現し、石橋を女子バスケ応援アンバサダーに任命した。セレモニーだというのに、すでにコート上はお祭り騒ぎ。こうした演出は、レギュラーシーズンでは見られない楽しさ満載だ。

「モジモジ」髙田(正面)から「女子バスケ応援アンバサダー」に任命された石橋(背中) 撮影:たまさぶろ

試合は、仲良し女子らしい仲睦まじい姿からスタートし、Team SUNRISEのタイムアウトときには二人羽織でボトルの水を飲ませ、シュークリームでエネルギーチャージさせるなど、ドタバタコント劇状態。

得点を決めベンチ前でペッパーミル・パフォーマンス 撮影:たまさぶろ

■バスケコートはダンスフロアか

しかし、何よりも感じたのは、オールスター選手たちの「観客を楽しませよう」という押し付けがましい気持ちではなく、シュートが決まる度にベンチ選手までもが大騒ぎする、まずは選手たちが、ゲームそのものを心から楽しんでいる様子だ。だからこそ、その楽しさが観客に伝播したのだろう。

「フィロソフィーのダンス」が登場し、普通のハーフタイム・ショーかと思いきや… 撮影:たまさぶろ

少し驚いたのはハーフタイム。Wリーグの応援ソングを担当するアイドルグループ「フィロソフィーのダンス」が登場。ハーフタイムと言えば、サッカー、アメフト、ラグビーを問わず「トイレタイム」。しかしこの日は、コートが暗転した中、繰り広げられるショーに客席は空になるどころか、全力サポート。こんな光景は、全スポーツ界最大の祭典とされるNFLのスーパーボウル以外になかなか見られないシーン。

選手もマスコットも踊りだすダンスフロア・ハーフタイムに 撮影:たまさぶろ

そしてフィロソフィーのダンスは、選手を巻き込み、さらにチームマスコットを巻き込み、昨日日韓戦を戦ったWKBLも引き込み、バスケコートはすっかりダンスフロアに。こんなオールスターが他にあっただろうか。

こうしたお祭り騒ぎがありながらも試合後半、第3クオーター、第4クオーターと進むと、ゲームは真剣勝負に。残り2分以降は両チームが3ポイントを決めるシーソーゲームが極まり、最後は渡嘉敷が逆転ミドルジャンパーを決めた。これでTeam SUNRISEの勝利となるが、その勝敗以上に「バスケは楽しい」というメッセージはぐさりと刺さる…そんな2日間だった。

マスクで目隠ししフリースローを放つ渡嘉敷来夢 2本とも見事に外すも 撮影:たまさぶろ

オールスターのMVPは髙田が獲得するが、最後のマイクは渡嘉敷へ。「またみんながWリーグに来てくれるのを待っています。行こうよ、Wリーグ!」との掛け声で締めくくった。

もしバスケットボールにわずかでも興味があるのなら、今観戦すべき試合は、Wリーグに違いない。来季はどんな楽しいバスケを見せてくれるのか、興味は尽きない。

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著者プロフィール

たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー

『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。

リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。

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