
今日本はBリーグを中心にアリーナの建設ラッシュにわいている。2021年6月には沖縄アリーナがオープン。さらに25年4月には神戸アリーナ、その夏には愛知国際アリーナ(仮称)、秋には東京・お台場に「東京Aアリーナ(仮称)」が完成する予定だ。
◆群馬クレインサンダーズ、新アリーナ名称発表記者会見で「スワローズがよかった」と太田市長爆弾発言も「今はバスケのとりこ」
■群馬対栃木の北関東ダービー
そんな中、群馬クレインサンダーズの新本拠地「OPEN HOUSE ARENA OTA(オープンハウスアリーナ太田)」(オプアリ)が15日、ついにオープンを迎えた。記念すべきオープニング・ゲームでは、同じく北関東の強豪、宇都宮ブレックスを迎え撃った。ティップオフ直前、詰めかけた5262人のファンは立ち上がってオープニング・ゲームの幕開けを祝った。
記念すべき最初の得点は、試合開始直後だった。群馬のマイケル・パーカーによるダンクが決まった。
さらに第2クォーターには怪我による欠場が続いていた五十嵐圭が復帰し、スリーポイントシュートを沈めるなど会場を沸かせた。試合は、群馬の得点源であるトレイ・ジョーンズがファウルトラブルに苦しんだこともあり、30-43と宇都宮が13点リードで折り返した。
後半に入り、並里成やジョーンズらの得点で徐々に差を縮めるとついに同点に追いついた群馬。第3クォーター終了間際には八村阿蓮のスリーポイントシュートが鮮やかに決まるなど逆転に成功し勢いに乗った。第4クォーターには五十嵐と同じく日本バスケ界を牽引し続ける宇都宮の田臥勇太が出場し、両チームのファンを沸かせた。後半、群馬の失点はわずか28としまったディフェンスを見せた。試合は79-71と群馬が勝利し、新アリーナ初戦を見事勝利で飾った形だ。
群馬の水野宏太ヘッドコーチは勝利後「最高です」と思い切り笑顔を見せた。

「オプアリ」初得点となるダンクを決めたパーカー、記者会見で喜びを語る 撮影:SPREAD編集部
■「記憶に残るスコアが取れた」
「是が非でも勝利でこけら落としを成功させることを考えていた。無事1試合を終え、勝利で終えられて嬉しく思う」と少し安堵した様子だった。最高と表現した空間「(ファンの)思いが伝わってきた。追い上げている時の声援、歓声は間違いなくエネルギーに変わったと思える」と振り返った。チームの追い上げ攻勢に比例して会場の熱気と興奮は高まりを見せていった。空間が作り上げる一体感は、確実にチームの背中を押していた。
水野ヘッドコーチは試合後、コートから見上げた景色について「想像以上だった。チームカラーが意識されていて、黄色と黒で統一されていた。大変迫力があり、一体感を生んでいた。多くの方々が集まってくれて、みんなで、こけら落としを成功させた」と強調していた姿が印象的だった。
また、この試合17得点とチームトップのスコアで勝利に貢献し、オープンハウスアリーナ太田初得点を記録したパーカーに、初得点の瞬間を試合後に振り返ってもらうと、「本当に記念で、記憶に残るスコアが取れた。嬉しく思う。写真や映像が頭に残るようなシュートだ。誰かいい写真が撮れていたら、もらいたい」と笑わせた。それほど選手たちもが高揚する空間で試合だったといえるだろう。
一足はやく内覧、練習を行った際にも群馬の選手たちは、各々のロッカールームなど施設に感動した様子を見せていたという。試合後、会見に臨んだ五十嵐は、「僕たちも昨日はじめて練習で使用した。サブアリーナや、ロッカールームなど、今までにない環境を整えてもらった。アイスバスもあり、ホームゲーム後には体を休めてケアができるようになった。ありがたい」と感想を述べた。

ケガから戦列に復帰、躍動した五十嵐圭(右) 撮影:SPREAD編集部
こうした設備は選手たちのパフォーマンス向上に繋がることは間違いないだろう。2021-22シーズンに群馬へ移籍した五十嵐。その際に、新アリーナが近い将来オープンすることも移籍の理由であった。「プレーしてみたい。コートに立ったとき何を感じるのか味わいたいと思っていた。実際に感じるものがたくさんあった。このアリーナに関わってくれた方々に感謝を伝えたい。群馬として試合ができ、勝利できたことは群馬の今後につながっていく。自分たちにとっても大切な1日になったと感じている。プレーで見せて、恩返ししていくことが必要」と感謝の言葉を口にしていた。
◆【後編】「オープンハウスアリーナ太田」こけら落とし、群馬クレインサンダーズ快勝 「非日常空間がファンの生活になるよう」と指揮官も感嘆
◆昨季ファイナルの悔しさを返す 並里成が群馬クレインサンダーズで目指す頂点
◆五十嵐圭、群馬クレインサンダーズ電撃移籍の真相を語る Bリーグ優勝の夢を叶えるため
■著者プロフィール
木村英里(きむら・えり)●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長
テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。