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NFLの第57回スーパーボウルは12日(日本時間13日)、アリゾナ州グレンデール市のステートファーム・スタジアムで開催され、カンザスシティ・チーフスがフィラデルフィア・イーグルスを38-35で破って3年ぶりの優勝を果たした。
■「クロックマネジメント」で劇的勝利
前半をイーグルスが24-14と10点差で終え優勢だったが、近年のプレーオフでの経験が豊富で、今回がここ4年で3度目のスーパーボウルとなったチーフスが、経験を生かしつつ攻守で修正を施し、かつ勝負どころでビッグプレーを見せ、優勝杯のヴィンス・ロンバルディ杯を手にした。
勝負のポイントはさまざまあったが、後半最初のドライブでチーフスがタッチダウン(ランニングバック、アイザイア・パチェコのラン)を挙げて3点差に追い上げたことが、試合の流れという点では大きかった。同軍のエースクォーターバック(QB)、パトリック・マホームズは前半終了直前、相手のタックルを受けたことで数週間前に痛めた左足首を再度負傷し、チームに暗雲が垂れ込め始めていたが、このタッチダウンで雲の流れる方向を変えるのに成功した。
この後、最終第4クォーターにチーフスがタッチダウン2本を奪って35-27とリードするも、イーグルスもそこからタッチダウン(さらに2点コンバージョンを決める)を挙げ試合時間残り5分強で35-35の同点に持ちこむ。
しかし、ここからチーフスがじわじわとボールを進めながらイーグルスにほとんど攻撃時間を与えない「クロックマネジメント」を見事に遂行。残りわずか8秒で劇的な勝ち越しのフィールドゴールを決めて、勝利となった。
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前回優勝時のパーレドの模様 (c)Getty Images
ハーフタイムショーではグラミー賞9度受賞のリアーナが登場し、自身2人目の子どもを身ごもった状態でパフォーマンスをしていたことが明らかとなった。試合も接戦となり、総じて盛り上がりのなかで幕を閉じたスーパーボウルになったと言えるだろう。
◆【実際の映像】第57回スーパーボウル、ハーフタイムショーで話題を呼んだリアーナ
チーフスはこれで、球団史上3度目のスーパーボウル優勝となった。一方のイーグルスは、第52回大会(2017-18年シーズン)以来の優勝を逃した。スーパーボウル史上、前半終了時点で10点差をつけられたチームが勝利した例は2016-17年シーズンの第51回大会でニューイングランド・ペイトリオッツがアトランタ・ファルコンズを34-28で下した1度のみ(26敗)だったが、チーフスが2例目となった。
◆【後編】第57回スーパーボウルMVPマホームズ、元プロ野球助っ人の息子に「史上最高のQB」の呼び声
◆第57回スーパーボウルは「マホームズ vs. ハーツ」 史上初の黒人QB対決の展望は…
◆父をも超える活躍を見せたスーパーボウルMVP、パトリック・マホームズの軌跡
著者プロフィール
永塚和志●スポーツライター
元英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者で、現在はフリーランスのスポーツライターとして活動。国際大会ではFIFAワールドカップ、FIBAワールドカップ、ワールドベースボールクラシック、NFLスーパーボウル、国内では日本シリーズなどの取材実績がある。
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— NFL (@NFL) February 13, 2023