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アメリカンフットボールの最高峰・NFLの優勝決定戦「スーパーボウル」が12日(日本時間13日)に開催される。
日本ではマイナーな立ち位置にある競技ではあるが、スーパーボウルの名前だけ、あるいはトップスターが演ずるハーフタイムショーなどでこのイベントを認知している人も少なくないだろう。
後編ではそのビジネス的側面とエンタメ的側面に触れたい。
◆【前編】第57回スーパーボウルは「マホームズ vs. ハーツ」 史上初の黒人QB対決の展望は…
■チケットとテレビCM価格は史上最高レベルに
スーパーボウルはチケット価格が高額であることも有名だが、米経済雑誌『フォーブス』電子版によれば今大会の二次流通によるチケット価格は史上2番目の額となる平均約9000ドル(約118万円)であるとしている。
もっとも安価なものでも60万円以上、高額なものでは4万ドル(約525万円)とフォーブスは報じている。
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メルカリがスーパーボウルに初めてCMを露出した際の画像
平均チケット価格で過去最高は、コロナウイルスの影響で販売数を減らして行われたフロリダ州タンパで行われた第55回大会(2019-20年シーズン)で、約1万2000ドル(約157万円)であるとのことだ。
ただし、今年の平均価格の9000ドルもスーパーボウルウィークの始まった2月6日時点でのそれ。需要と供給のバランスで価格は変動するため、試合日が近づくにつれて価格が下がってくるのが通例だ。
また、アメリカでの視聴率が40%前後を記録するスーパーボウルでは、試合中継の際のテレビCMを流すのに要する費用も毎年、話題となる。
今年のスーパーボウルにおいて30秒のCM枠の購入にかかる費用は600万ドルから700万ドル(約7億8000万円から9億2000万円)とされ、いくつかの企業は700万ドル以上を支払っていると、アメリカのメディアは報じている。
今大会の放送局は『FOX』だが、同局が中継を担った第54回大会(2019-20年シーズン)の際のCM放映費用は約560万ドル(約7億2800万円)だった。
スーパーボウル中継でのテレビCM費用は、1990年には70万ドルだったが、その後20年で年を追うごとに高騰している。
■過去に出演拒否のリアーナがハーフタイムショーに登場
スーパーボウルは試合のみならず演出やビジネス面での規模の大きさで注目を集めるが、その中で世界的に有名なミュージシャンによるハーフタイムショーが毎年、話題となる。
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トム・ペティ&ハートブレイカーズのハーフタイム 撮影:永塚和志
今回はバルバドス出身でグラミー賞8度受賞の人気女性シンガー、リアーナがハーフタイムショーを担うが、彼女の起用は意外性を持ってとらえられている。理由はこうだ。
2016年、当時サンフランシスコ・フォーティーナイナーズのクォーターバックで、試合前の国歌演奏の際に片膝をついてアメリカに巣食う黒人差別への抗議の意思を示したことに端を発して後にどのチームとも契約を結ぶことができなかった(端的に言うと「干された」)コリン・キャパニックの行動にリアーナは同調していた。
これにより、2018年にもハーフタイムショーへの出演を打診されていた彼女はNFLへの反意を理由にこれを断っていたと報じられている。
そうした経緯を経てなぜ今回のハーフタイムショーでの出演を決めたのかについてのリアーナからの明言はないが、彼女がマネジメントを受けるロックネーション(Roc Nation)の影響力ではないかと信じられている。
ロックネーションは人気ラッパー、音楽プロデューサーのジェイZが設立したエンターテイメント・エージェンシーで2019年にスーパーボウルを含めたライブ音楽面でのコンサルティング等を行う複数年のパートナーシップ契約を結んでいる。
NFLのパートナーシップでロックネーションは上記キャパニックの件で浮き彫りとなった人種差別などの社会的課題改善にも取り組んでいくとしており、これが今回のリアーナのハーフタイムショー起用につながったと思われる。
しかし、ロックネーションがNFLとのパートナーシップ締結後、スポーツ界においてこの課題の象徴的存在となったキャパニックを活動に招聘し人種差別解決に動いたことはない。それだけに一部からは「社会課題解決といったそれらしい言葉を使いながら結局は莫大なカネを稼ぐことしか考えていない」といった批判を受けている。
こうした背景も関係して、リアーナは2016年以来ライブツアーを行っておらず、昨年10月のシングル”Lift Me Up”まで6年間、新曲を発表していなかった。それだけに、リアーナのハーフタイムショーがどのようなものになるか気になってくる。
そのハーフタイムショーの冠スポンサーが、昨年までの飲料大手のペプシ(Pepsi)からアップルミュージック(Apple Music)となった。報道によるとアップルミュージックは5年契約で毎年、5000万ドル(約66億円)を支払うという。
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筆者が現地取材した第42回スーパーボウル ペイトリオッツ vs. ジャイアンツ戦 撮影:永塚和志
ハーフタイムショーはYouTubeでも放映されるが、Dr.ドレー、スヌープドッグ、エミネムなどが出演した昨年の大会(ロサンゼルス)ではアメリカ国内だけで1億2000万人が視聴したとされる。
試合前の国歌斉唱はグラミー賞8度受賞のカントリー歌手、クリス・ステイプルトンが行う。
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著者プロフィール
永塚和志●スポーツライター
元英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者で、現在はフリーランスのスポーツライターとして活動。国際大会ではFIFAワールドカップ、FIBAワールドカップ、ワールドベースボールクラシック、NFLスーパーボウル、国内では日本シリーズなどの取材実績がある。