【プロ野球】“令和の怪物”佐々木朗希に見えた「課題」 2023年は覚醒から完成へと向かうか | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【プロ野球】“令和の怪物”佐々木朗希に見えた「課題」 2023年は覚醒から完成へと向かうか

新着 ビジネス
【プロ野球】“令和の怪物”佐々木朗希に見えた「課題」 2023年は覚醒から完成へと向かうか
  • 【プロ野球】“令和の怪物”佐々木朗希に見えた「課題」 2023年は覚醒から完成へと向かうか

2022年のプロ野球を振り返った際、“令和の怪物千葉ロッテ・マリーンズ佐々木朗希の「覚醒」は避けて通れない。特に4月10日のオリックス戦で達成した史上最年少での完全試合は、球史に深く刻まれる“世紀のピッチング”だった。そして、その大記録を目撃した多くのファンがより大きな希望を抱いた理由が、彼が弱冠20歳だったから。そして今年の11月に21歳となって迎える2023年への期待は、否が応でも高まるばかりだ。

◆見たかった初対決! 完全試合男・佐々木朗希 vs. ノーヒッター山本由伸の投げあい

■奪三振率12.04と大きく飛躍

改めて2022年のロッテ・佐々木朗希の成績を振り返る。開幕ローテーション入りから20試合に先発登板して9勝4敗、防御率2.02。計129回1/3イニングを投げて、イニング数を大きく上回る173奪三振(奪三振率12.04)をマーク。QS率(6回を自責点3以内)は70.0%、HQS率(7回を自責点2以内)は40.0%だった。これは昨季の成績(11試合3勝2敗、防御率2.27)と比べても大きく飛躍。体作りを優先して“ベールに包まれてきた”中、プロ3年間で投手として着実に、そして大きく成長したことを証明した。

だが、来季へ向けての「課題」はある。誰の目にも明らかなのは「耐久力」だ。

今季、シーズン初登板だった3月27日の楽天戦で6回4安打3失点だった後、2戦目から8回3安打1失点、9回無安打無失点、8回無安打無失点と快刀乱麻のピッチング。その後も好調を維持して、5月を終えた段階で9試合に登板して5勝0敗、防御率1.33という好成績で“タイトル総ナメ”も期待された。しかし、6月以降は停滞し、特に8月は4試合に登板して防御率4.44。念には念を入れた球団の育成プロジェクトがあったとはいえ、疲労蓄積に加えてマメを潰した影響もあって9月までに4度の登録抹消を強いられた。万全ならば誰も手が出ないが、シーズン後半は好不調の波が激しく、1シーズンを投げ抜く体力が不足していた。

2022年シーズン、佐々木朗希の月別成績表

■ホーム無双の「内弁慶」への対応は…

 長いシーズンの中での「耐久力」とともに、改善したいのは「内弁慶」である。今季の20試合をホームとビジターに分けると、本拠地・ZOZOマリンでは12試合に登板して防御率0.76だったのに対して、ビジター球場では8試合で防御率4.27。ZOZOマリンでは中堅から本塁方向へ強風が吹くことが多く、この風がネット裏のスタンドに跳ね返ることで投球に大きな影響があると言われている。特に空気抵抗を利用した変化球であるフォークを決め球とする佐々木にとっては大きな恩恵があった。だが、その「マリンの風」が、防御率が0.76から4.27へと低下するほどの影響力を持っているとは他の投手の成績を見ても考え難く、マウンドに上がるまでの調整法、フォークに頼らない投球の組み立て、そして佐々木自身のメンタル面にも改善できる点があるはずだ。長いシーズンを投げ抜くためには、環境の変化に対する「適応力」と「タフさ」がやはり必要不可欠で、来季の佐々木に求めたいところだ。

2022年シーズン、佐々木朗希ホーム・ビジター別成績表

■投球の幅を与える球種

 さらに改善すべき箇所、進化すべきポイントとして、「投球の幅」が挙げられる。今季の佐々木の球種割合を見ると、全体の56%がストレートで33%がフォーク。この2つの球種だけで89%を占める。いくら佐々木のストレートが球速160km/hを超え、140km/h台のフォークが高い空振り率を誇るとはいえ、長いイニングを投げる必要がある先発投手としては「頼りすぎ」の面は否めない。

2022年シーズン、佐々木朗希の球種割合

 理想は、2年連続の「投手5冠」を達成し、沢村賞も2年連続で受賞したオリックス・バファローズのエース山本由伸だろう。佐々木と同じくストレートとフォークが軸ではあるが、カーブの割合が17%。この球速120km/h台のカーブが投球の幅と奥行きを持たせており、さらに8%あるカットボールで「早めに打たせて取る」というピッチングも実行している。佐々木も「使える球種」を増やすことで、今以上に投球を「楽に」できるはず。オフの自主トレ、そして春季キャンプで取り組むべきミッションだろう。

2022年シーズン、オリックス山本由伸の球種割合

 これらの「課題」をクリアすることができれば、シーズン25試合登板で15勝以上、防御率1点台、200奪三振は間違いなしだろう。今季の経験と収穫は、必ず来季に活きるはず。新たにチームを指揮することになった吉井理人監督は、現役時代から日米で多くの経験を積み、投手コーチとしても「投手運用力」に定評があった。その指揮官の下で“令和の怪物”が「完成」へと向かうのか。2022年の活躍は、あくまで“序章”。佐々木朗希の伝説は、まだ始まったばかりであることを、多くのファンが望んでいる。

◆“The Monster of the Reiwa”佐々木朗希の完全試合を米メディアも特集「唯一無二の歴史的パフォーマンス」

◆「MLBに所属していない投手で世界最高」パーフェクト途切れても佐々木朗希への高評価は変わらず 米メディア指摘

◆元ロッテ・里崎智也が語る「佐々木朗希×松川虎生」の若手バッテリーの“課題”

提供●Baseball Times

《SPREAD》
page top